植樹祭の風景

 今日、近所で愛知県主催の植樹祭があったので見に行った。会場には小型だが立派な舞台が設えられ、展示ブース、工作体験ブース、炊き出しブースなどのテントが20張も立てられている。海上の森に消えたはずのモリゾーキッコロまで登場するかなり大規模なイベントだった。
 スタッフの名札をつけた人が3種類いた。まず目に付くのがモスグリーンの作業着を着た40人ほどの市の職員たちだ。白いトレーナーを着ているのはボランティアの市民で、やはり40人ほどいる。そしてネクタイ姿にベージュの作業着といういでたちが愛知県の職員の一部らしい。らしいというのは、そうではない普通のジャケット姿やスーツ姿の県職員が混じっているからである。合計100人ほどのスタッフが会場のあちこちで立ち働いていた。彼らを観察していて気がついたことがある。
「愛知県の職員の動きが悪い」ということである。まず、植樹祭に革靴で参加している職員がいる。何しに来ているんだろう。そして、県のブースがあるのだが、そこに溜まって動こうとしない。
「今日の植樹祭は市の主催なの?」と、知り合いの市の職員にたずねると「県の主催ですよ」と言うではあ〜りませんか。やっぱりね。そしてこう付け加えた。
「愛知県は名前を冠しているだけで、式典の準備はすべて市のほうでやっています」
 そうだろうね。忙しそうに走り回る市の職員に比べて、愛知県職員の動きはひどく緩慢だ。
 11時過ぎ、イベント会場に市民があふれているというのに、ボランティアの市民は飲まず食わずで炊き出しを配っているというのに、県の職員は会場の端にあるテントで弁当を使っている。いくらなんでもフライングが過ぎないかい。
「スタッフはもう昼食ですか?」
 と、知り合いの職員に再度確認する。
「ああ、あの人たちは早く帰らなければいけないからね」
「まだイベントをやっているのに県の人は帰っちゃうの?」
「はい、式典が終わったので市の職員が駅までお送りします」
「JRの駅まで?」
「そうですよ」
「駅って歩いて15分くらいではないですか、市の人はみんな忙しそうですよね。その手を割いて、県の職員を送迎するの?」
 ワシャの突っ込みに市の職員は苦笑するだけだった。

 午後1時、植樹祭が終了し、後片付けが始まった。そこには県の職員の姿はなかった。金は出したからそれで主催したことになるんだそうです。やれやれ。