読書遍歴

 小学校の頃は書店と図書館が大好きだった。商店街にある本屋にはほとんど毎日通っていましたぞ。活字の本であれば教師だった父親のツケで買うことを許されていたので、創元推理文庫の「火星シリーズ」「金星シリーズ」などに代表されるスペースオペラを暇さえあれば読んでいた。だからワシャは今でも火星にはジョン・カーターや恋人のデジャー・ソリスが住んでいると信じているのである。画家の武部本一郎さんが描くデジャー・ソリスがこれまた美しいですな。第1巻の『火星のプリンセス』の表紙は、若き日の吉永小百合沢口靖子を足して2で割ったような面差しに、ほしのあきのボディをくっつけたような半裸女性のアップなんですぞ!って興奮することもないんですが、小学5年生には、なかなか刺激的だったのじゃ。

 中学に入ると部活動が忙しくなった。それと映画に目覚めてしまったことでなかなか読書が捗らなかった。今、思い起こしても観た映画のことは覚えているが、本を読んだ記憶はほとんどない。

 高校時代は底抜けに楽しかった。地元の番長連合(大笑)の幹部だったので本を読む暇などなかった。でも一級上のツッパリネエチャンの誕生日に、彼女が好きだという新田次郎のハードカバーの本をプレゼントしたことを思い出したぜ。もちろんオヤジのツケで買った。あげたのは『アラスカ物語』だと思っていた。記憶が曖昧なのでネットで出版時期を調べてみると、初版がワシャの高校時代より後の時期なので別の本だったのかなぁ。でも、確かにツッパリが喫茶店新田次郎の本の話で盛り上がっていたことは間違いないんだ。

 大学時代は苦学生(愚学生ともいう)だったのでアルバイトばかりしていた。だから本といっても推理小説を読むくらいで、小学校の頃に毎日通っていた本屋にも年に何度か足を運ぶくらいになってしまった。
 思えばこの頃がもっとも活字から離れていた時期だ。きっとこの頃は爬虫類並の脳味噌しかなかったと思いますよ。はてさてワニ男はいつになったら人間になれるんでやんすかねぇ。