「手紙」での演技力

 沢尻エリカ主演の「手紙」がテレビでやっていた。基本的にテレビで映画は見ない。コマーシャルで映画がブチブチに切られてしまうので嫌なのだ。でもね、エリカ様がどの程度の演技をする女優なのか見定めたかったので我慢して見ましたぞ。
結論は、相撲で言えば才能のありそうな序二段、落語で言えば割と器用な前座といったところか。
 それぞれのシーンでの存在感はある。演技もそこそこうまい。だが、演技しているのが沢尻エリカから抜けきっていない。「パッチギ」のリ・キョンジャと同じ人物がそこにいた。リ・キョンジャが白石由美子を演じているといってもいい。
「手紙」の生野監督がこう絶賛している。
「原作での沢尻さんの役はもっと野暮ったくて、不細工なはずなんです。それが都会に出てあか抜け、主人公との愛を貫くことで美しくなっていく。なのに、沢尻さんは最初からどうやったってきれい。メイクを薄くしたりとかめがねかけたり、髪を束ねたりいろいろやったんですが、逆にどんどんかわいくなってしまって……大失敗です(笑)」
 笑っている場合か、あんたの演出力のなさと、沢尻の演技力がなせる技ではないのか。
「手紙」を見てそんなことを感じた。