黒い煙があがった

 7月16日、偶然、新潟県中越沖地震で火災を起こした柏崎刈羽原発の映像を見ていた。原子力発電所から黒煙が1本上がっているのだ。それを上空のヘリコプターが旋回しながら俯瞰している。建物のかげに隠れていた出火場所が徐々に見えてきた。屋外の配管から炎が出ているようだ。テレビのテロップには午前11時15分とある。地震発生から1時間以上経過している。それだけの時間があれば職員も地震の混乱から立ち直っているはずだ。しかし、火災現場には人影はなかった。配管を燃えるに任せている。
 通常の事業所であれば、消防法によってあちこちに消火設備を配置していなければならない。原子力発電所は、通常の事業所より更に火災に注意しているんじゃないのか?新聞報道では「消火栓は地震によって使えなかった」とある。ならば防火水槽は設置してなかったのか。水をかけられない火災もあるので、だったら油火災に使えるABC消火器で消せばいい。テレビで見る限りABC消火器3本もあれば充分に消火できる小火(ぼや)と見た。
 まさか柏崎刈羽原発には、ABC消火器が配置してなかったなんてことはないよね。ウサギ小屋のようなワシャの家にも置いてありまっせ。
 詳細はわからない。わからないけれど、原子力発電所で、誰も消そうとしない焔が炎々と黒煙をあげているという図には背筋が凍りましたぞ。

 1986年4月26日、ウクライナベラルーシ国境で原子力発電所が大爆発を起こした。チェルノブイリ原発事故である。ここから南に100キロのところに首都のキエフ)があるが、このときソビエト政府は真剣に全住民(260万人)の移転を考えていたそうだ。ソビエトは運がよかった。この時期、このあたりには東風が吹いていたので、キエフは大災厄から免れることができたが、強い北風が吹いていたとしたら、間違いなくキエフはゴーストタウンになっており、260万人の難民が発生しただろう。

 東海地方には御前崎浜岡原発がある。浜岡と名古屋の距離はチェルノブイリキエフの距離に一致する。ほぼ110キロだ。原発周辺の人口集積を考えれば、東海地方はウクライナの比ではない。そう考えると、今回の地震であがった黒い狼煙は、極めて重大なことを示しているような気がしてならない。
 東海地震はいつ起きてもおかしくないと言われている。東南海地震も迫っている。この2つが連動して起こる可能性だってある。桑原桑原。