恵方巻き?

 コンビニの扇動にのせられた全国の流行に敏感な(不和雷同の)ご家族がそろいもそろって南南東に向かって太巻きを咥えるのだろうか。ふう。
 もちろんワシャの家ではそんなことはやらない。ついこの間までは「豆まき」はしていたが「恵方巻き」なんてまったく知らなかった。
 それもそのはずで「恵方巻き」などといういかがわしい風習は節分の歴史にはない。試しに百科事典をひもといてごらんなさいよ。「鬼打ち豆まき」「焼きイワシの頭とヒイラギ」「ニンニク」「成木責め」「木まじない」「なまこひき」「もぐらうち」などの習俗は書かれていても、「恵方巻き」なんて載っておりませんぞ。
 この間抜けな作法は、どうやら大阪の寿司屋が考えた巻き寿司販売促進のためのイベントでしかないらしい。だからいくら気張って南南東を向いて丸ごと一本巻寿司を食ったからといって幸せにはなれないのだ。下手をすると年寄りが寿司を喉に詰まらせて病院にかつぎこまれることになるかもしれない。
 そんな愚かしい食事をするよりも「豆まき」をすればいいし、ワシャの家では爪楊枝の先にニンニクの一片を刺して、玄関と裏口のところに飾っておく。これでおまじないとしては充分であるぞよ。