男たちの大和

 日曜日だというのに出勤し仕事を一つ片付ける。早い時間に目処がついたので帰り道に映画館を覗く。
 この間、大和ミュージアムに行ったことだし「博士の愛した数式」はどっと込んでいたので「男たちの大和」を観ることにした。
 映画開始とともに涙が出て、2時間23分を泣きとおしてしまった。駆っちん(駆逐艦好き、軍艦好きのこと)のワシャだけが泣いているのかと周りをうかがうとほとんどの観客が泣いていたのじゃ。観おわって幕が閉じられてもほぼ満席の観客は無駄口ひとつ叩かずに整然と出口から出ていくのである。皆さん、大和沈没を目の当たりにして厳粛な気持ちになったんですね。
 この映画はもう一度映画館で観たい。こんな気分は「燃えよドラゴン」以来ですぞ。ワシャ的には今まで観た全映画の中でもベスト10に入るくらい感動しました。

 大和の特攻出撃に「死ぬ意味がわからない」と騒ぐ下士官に臼淵大尉(長嶋一茂)が言う。
「日本は精神主義に陥って進歩ということを軽んじた。破れて目覚める。それ以外にどうして日本は救われるか。俺たちはその先導になるのだ。日本の新生にさきがけて散る。まさに本望じゃないか。」
 滂沱滂沱……
 主人公の年少兵の神尾と同級生の妙子との淡い恋模様もよかった。舞台が広島に近い呉だけに、妙子の明るさが悲しい。
 ラストに流れる長渕剛の曲もいい。この曲があったお蔭で涙を乾かす余裕ができた。じゃないと客はお互いぐしゃぐしゃな顔を見せ合うことになってしまう。

 仕事でいらいらしていたがお蔭で心が洗われた。帰路、本屋へ寄って『巨大戦艦大和はなぜ沈んだのか』(パンドラ新書)を購入、ちょこっと大和のことを勉強しようと思っている。