東アジアは落ち着かない

 国民保護法制に想定される「武力攻撃事態」には次の4つの「着上陸侵攻」、「ゲリラや特殊部隊による攻撃」、「弾道ミサイル攻撃」、「航空攻撃」がある。この想定の前提として、いずれの国を敵国とするかで随分と違ったものになるのだが、この場合、経済発展を始めた大国が軽率に武力攻撃を実施することは考えにくいので、経済的にも困窮し国体自体も貧弱な国が暴発することを念頭において考えるべきだろう。
 この場合、「着上陸侵攻」と「航空攻撃」は彼の国の経済力、軍事力、兵器の装備等を考慮し、且つ軍事行動の基本概念を考え合わせ、燃料や弾薬の補給、兵站に決定的な弱点を持つ彼の国が直接軍事行動に出る可能性は極めて低い。船舶や航空機の性能の差は決定的でありこの部分での戦闘行動はありえないだろう。
 可能性として高いのが「ゲリラや特殊部隊による攻撃」、「弾道ミサイル攻撃」である。彼の国の特殊工作船が日本近海に出没し、あるいはひそかに少数の特殊部隊が日本国内に潜入し、拠点施設を破壊するというテロ攻撃や、核、非核は別としても長距離弾道ミサイルを単発的に発射することは容易に予想される事態である。
 日本国はこの2点に特化した形で対処方針を作成しなければいけない。まだ実戦配備には程遠いが迎撃ミサイル構想を現実のものとしなければ彼我の地理的距離が近いだけに弾道ミサイル攻撃は現実味を帯びた武力攻撃事態となりうる。
 彼の国の脅威は平和ボケした日本人に突きつけられたシーザーの骰子なのかもしれない。