2009-09-23から1日間の記事一覧

世襲について その1

新井えり『名士の系譜』(集英社新書)を読んでいて、はたと膝を打った。《白仙には、九歳の順吉という養子をもらい受けて、五年後に離縁するという苦い経験があった。順吉は眉目秀麗で動作は敏捷、勉学優秀で誰からも好かれた。一人白仙だけが、少年の心に…

世襲について その2

(上から続く) 同書では、日本橋馬喰町紙屋中庄の中村家のこんな家訓を紹介している。「男子相続は後代まで永く永く相成らず、当家相続は養子に限り、固く定めおくものなり」 中村家では身内の情よりも、家業の隆盛を優先した。このために「世襲」を一切否…