葦編三絶

 熱はなんとか治まりました。

 NHKで「司馬遼太郎思索紀行」が放送された。その第2回である。テーマは「名こそ惜しけれ」。鎌倉武士、坂東武者のいさぎよい生き方に関わる回であった。

「名こそ惜しけれ」
 はずかしいことをするな、という坂東武者の精神は、その後の日本の非貴族階級につよい影響をあたえ、いまも一部のすがすがしい日本人の中で生きている。

 上は、司馬さんのエッセイ『この国のかたち』の第2章に出てくる。以下は『鎌倉武士と北条政子』と題した講演録の中での発言。

 十二世紀に鎌倉幕府が成立しますが、それ以前から関東の武士たちの気風の中に、文字にはする必要もないほどの強い倫理観がありました。
ひとことで言うと、
「名こそ惜しけれ」
 という言葉になります。

 自分という存在そのものにかけて恥ずかしいことはしないという生き方である。これが日本人の持っていた美風だった。その割合は大きく減じてはいるものの、それでもなお、一部のすがすがしい日本人の中で生き続けていることを司馬さんは信じていた。もちろん司馬さん自身が「名こそ惜しけれ」の生き様を貫かれた方でもある。
 
 放送は、司馬さんの『この国のかたち』をベースに構成されている。そこに他からの引用などがちらほらと散見される。だから、その出典を探すため、『この国のかたち』をまたひも解いていた。う〜む、何度読んでも沁みてくるなぁ。

 先日、荒俣宏さんの講演を聴いた話はこの日記で書いた。その時に荒俣さんが言われた言葉に「韋編三絶」というものがある。『史記』の「孔子世史」に出てくる。「本を読んでいて、本を綴る糸が三度切れてしまった」ということ。孔子ですら同じ本を繰り返し読んで知識を身につけたのである。いわんや凡夫のワルシャワにおいてをや。
 秀逸な日本論をわが血肉にするために「葦編三絶」するまで熟読する決意をした。

 まだこの人は国会にいたのか。相変わらずバカだなぁ(笑)。
《「うらやましい」溝手氏が発言、釈明 宮崎氏問題巡り》
http://www.asahi.com/articles/ASJ2D5R1SJ2DUTFK00R.html?ref=yahoo
自民党の宮崎謙介衆院議員が不倫の事実を認めて議員辞職を表明したことをめぐり、溝手顕正・党参院議員会長は12日、首相官邸で記者団を前に「うらやましい」と発言。すぐに「冗談だよ、ばか者。我々には想像できない世界だ。なかなかうまく反応できない」などと語ったが、その後も釈明に追われた。》
 余分なこと言わなければいいのに……。森喜朗氏と一緒でついつい口走ってしまうのだろう。ご苦労なことで。記者との会話の中で「ばか者」と言ってしまうあたりがバカモノなんですけど。
 この人のことを書いたのは、2009年の1月である。かれこれ7年もなんですね。
http://d.hatena.ne.jp/warusyawa/20090128/
 7年間も何の音さたもなく(選挙区ではいろいろ配ったりしてはいたのだろうけれど)参議院不要論が出てもしかたないような。