年賀状書き

 この連休は日曜日に仕事で出かけた以外はずっと年賀状を書いていた。ざっと150枚。きっと元旦に「あ、この人出してなかった」というのがあるので、最終的には170枚になるだろう。
 今回も歌舞伎から絵をとった。平成4年の大阪中座の昼の部の最後をかざった『大江山酒呑童子』から勘九郎の登場だ。
「待ってました」「中村屋」「五代目」「たっぷり」
 さて、文面(裏面)は舞う勘九郎でいっぱいいっぱいだ。ここに「謹賀新年」「挨拶」「住所氏名」を入れてある。もう添え書きをするスペースはない。仕方がないので、表面の左隅にちょこちょこっとメッセージを書く。でも、それだけでは味気ないので、その下地に朱色のヘビをあしらうことにした。でもね、このヘビがうまく書けない。水彩の細筆ですっと円を書いたり、波線を書くだけなのだが、これがなかなか難しいのだ。
 日本郵政は「25日までに出せ」とうるさい。大切な人や遠方の人から書きはじめるのだが、最初のころはヘビがウナギになってしまう。うまく書けるようになったのは100枚をこえた頃からかなぁ(笑)。だから、あなたの手元に届いたワシャの年賀状のヘビがウナギに見えたり、書き直してあったら、早い段階で書いたものと思ってください。

 夕方、ざっと書き上げて近くの郵便局に投函に出かけた。その帰りに駅前の本屋に寄る。つらつらと本を眺めて歩く。雑誌を何冊か手にして、いつもは一瞥して通り過ぎる「サライ」のところで目が止まった。表紙の下に「平成25年特製カレンダー」とあり、その横に法隆寺釈迦三尊像が写っている。見本を手に取ってカレンダーを1枚ずつ確認した。そうすると12月が一昨日話題にした蕪村の「夜色楼台図」だった。こういうつながりがうれしい。こういった小さな感動を得るために本を読んだり、足しげく美術館に通ったりしているわけだ。
 さっそく書庫の壁に特製カレンダーを掛けたのだった。