髪を金に染める者ども その1

「NHKスペシャル」の受け売りなんだけど、6500万年前にユカタン半島小惑星の破片が衝突し、その余波で大型爬虫類が絶滅する。今まで恐竜の影で小さくなっていた小型哺乳類と鳥類へと進化の過程にあった一部の爬虫類が冬の時代を生き抜く。そして新生代において爆発的な繁栄をしていくのである。
 ここで問題なのは、なぜ、小型哺乳類と鳥類進化系爬虫類だけが生き延びることができたのだろう。「Nスペ」ではこう説明している。
 恐竜の時代、哺乳類は昼間に捕食することができなかった。明るいところで動き回れば恐竜たちに見つかって食われてしまうからである。だから食料を見つけることが困難な夜行性とならざるを得ず、食糧の不足により大型化することも種として繁栄することもなかった。
 ユカタン半島小惑星の破片が墜落しなければ、今も爬虫類の世界が続いていたことは想像に難くない。哺乳類はやはり鼠くらいの大きさで地面を這いまわっていたことだろう。昔読んだ科学雑誌では、爬虫類の中から人間型の進化をするものが現れて、やはり同様な文明を築いたのではないかという論が載っていた。
 だが、爬虫類には申し訳ないが、ユカタン半島小惑星の破片は落ちた。そして地上の楽園は天変地異に見舞われ、津波や熱波でことごとく死んでいった。運よく生き残ったティラノザウルスもいただろうが、大爆発で巻き上げられた粉塵により、何十年も続く冬の時代に食料が尽き、絶滅していった。
 その冬の時代を生き残ったのが我々人類の直接祖先である小さな鼠と鳥に進化し始めていた爬虫類だった。
 まず、我々の祖先のほうから言う。小さな鼠が冬の時代を生き残った理由は、彼女が胎盤を持っていたからだといわれている。2億年前の鼠も爬虫類同様に卵を産んで世代を繋いでいた。しかし、進化の過程で体内に胎盤を持ち、子どもを体内で成育させるという能力を持つに至る。この能力があったればこそ、鼠はあの大災厄を生き延びることができた。
 もう一方の鳥型爬虫類である。彼女らも新たな進化を手にしていた。羽である。羽毛布団ってあったかいでしょ。鳥型爬虫類は進化で手に入れた羽を使って抱卵を編み出したのだ。この抱卵により卵を寒さから守り、世代を繋いでいくことに成功した。
 進化しないものは生き残れない。う〜む、現代のビジネスにも通じるところがあって、なかなか考えさせられる番組だった。
(下に続く)