サヨクのフィクション その2

(上から続く)
 通常、衆議院議員選挙の投票用紙は都道府県の選挙管理委員会が印刷をする。東京8区の場合は当然のことながら東京都の仕事になる。それを6月に実施された有権者数の定時登録に基づき各自治体の選挙管理委員会に配付する。6月の定時登録から投票日までの誤差があるので1〜2%ほど投票用紙を上乗せし、市区町村の選挙管理委員会に送られる。現行制度では都にはわずかな予備の投票用紙が残る。自治体に配付された票についても複数の人間によって厳重管理がなされる。例えば1,000人規模の自治体で、票の管理に携わる職員は数名程度だろう。彼らが投票箱の鍵、金庫の鍵、キャビネットの鍵、部屋の鍵等を共同管理する。投票箱の所在、投票用紙のありか、鍵の管理場所などは執行部、選挙管理委員にすら知らせていないのだ。
 こういった状況なので、疑義を呈している社民系の人の言うとおりとするならば、まことに大規模な組織をつくらねばこの不正の実行は難しいと言わざるを得ない。
 まず、30,000枚の投票用紙を手に入れるには、都下の自治体に配付されたものを狙うというのには無理がある。それだけの予備が与えられていない。あるなら都の選挙管理委員会ということになるが、実際には6月の定時登録者数の端数調整程度しか余分には刷っていないだろうから30,000もの予備用紙を持っているのかな?
 ここは、話が進まないので、都が持っていることにしよう。その用紙を盗むのに都の選挙管理委員会に複数の同志を潜入させる必要がある。とは言っても、都の選管の職員は東京都の職員だから、見ず知らずの人を紛れこませるというようなわけにはいかない。金で買収するか、別の方法で恐喝するか。どちらにしてもことが発覚すれば懲戒免職になるから、それに見合うだけの報酬やよんどころないネタが必要だ。とくに選挙管理委員会の職員は堅物が多い。安定志向の公務員がそんなリスキーなことを引きうけるかどうか……
 それでは話が進まないので、ある選管職員が引き受けたとしよう。上司や同僚、警備員の目を盗んで投票用紙のところまでたどりついた。通常、投票用紙は200枚が帯で結束されている。この厚さが3センチ程度ある。これが150束、これはかなりのボリュームになる。一人で持てないじゃん。
(下に続く)