本の関連の面白さ その2

(上から続く)
 たまたま柳田國男という名前だけで買ってしまった『柳田國男集』第5巻には、「参詣と参拝」という項があり、賽銭箱の由来について書いてあった。御垣内(みかきうち)で大枚を賽銭箱に突っ込んできたばかりであったから興味深く読みましたがな。ここで柳田博士は「賽銭というものが昔からあったとするならその起源はヌサではなかったろうか」と言っている。
「ヌサ」ってなぬさ?ということだが、百人一首を読まれたことのある方なら聞いたことがあるでしょ。菅原道真の歌に「此たびは ぬさもとりあえず 手向(たむけ)山 紅葉のにしき 神のまにまに」に出てくる「ヌサ」のことで「幣」という字を当てる。要するに神主さんが地鎮祭でバッサバッサ振っている棒の先に白い紙のついたアレのことだ。ヌサを振ることが神様への「贈り物」になる。そこから転じて「贈り金」→「賽銭」となったらしい。
 上記の和歌はさっとワシャの脳裏に浮かんだわけではない。買った本の中に、白洲正子『私の百人一首』(新潮選書)があったので、それで調べて解ったのである。
 残念ながら熱田で買った岩波文庫は『新古今和歌集』だった。これが『古今和歌集』だったら5冊の本がネットワークしたのに……残念!
 その他の本にも関連する事項はないかと探したが、そうそう都合よくはいかない。でも、4冊が関わりあっただけでも、ちょこっと楽しかった。