出でよ!本物のリーダーたち(話題1)

 いつの世も創業者というのは偉かった。それに比べてその後継者たちというのは得てしてバカが多いのも事実だ。
 戦国時代、数多の武将が草莽の中から名乗りを挙げて歴史に登場してくる。彼らは己の命一つを的にして泥を啜り草を食み、一国一城の主となっていく。彼らの尽瘁により17世紀以降の太平の時代が拓かれたのである。その後、創業者の身上を継いだ殿様たちは260年のぬるま湯に浸かりすっかりふやけてしまった。次の乱世である幕末に役立った殿様はごく僅かで、危機を救ったのは、やはり草莽の中から声を挙げた英明な人材であった。

 もう少し時代を進めよう。昭和20年、日本は再び危機に直面する。敗戦である。この時、登場したのが吉田茂だった。彼は昭和21年5月に首相を拝命したが、その時、彼は衆議院議員ではなかった。首相になる5ヶ月前に貴族院議員に勅任されているので国会議員ではあるが、選挙で選ばれた代議士ではなかった。愚かな有権者に左右されない分モノが良かったんでしょうな。
 吉田茂の五代後に岸信介首相がいる。彼は東京帝大法学部で首席だった。その上に郷土の英明吉田松陰から愛国の情をふんだんに受け継いでいた。その志を秘めて官界に転じ、大正9年から昭和14年までの間、国権拡大と国体強化のために奔走する。昭和14年、商工次長に任ぜられ、昭和16年に発足する東條内閣で商工大臣に就任する。
 その後に首相になる池田勇人佐藤栄作にしてもトップの官僚として力を発揮した後に政界に転じ、すぐさま大抜擢を受けて重要閣僚となっている。こういったダイナミックな人事が時代を活性化するのである。
 それがどうだ。平成も二桁になり、太平の世が煮詰まってくると、国会議員しかやったことのないひ弱な世襲議員、ぬるま湯殿様ばかりが首相になっている。人生経験といっても親コネで入った大学生活と、七光りで就職した大企業だけである。国家をどうすべきかという現場での訓練がなされないまま「先生様」に祭り上げられてしまったボンボン嬢ちゃんの集合体に成り下がっている。こんな連中に国家が任せられるか。

 議員の中にも草莽から出て、ここ何代かの首相や大臣よりはるかにモノのいい人材がいる。地方の首長の中にだってまともな政治家がたくさん存在している。こういった人材を登用し、根本的に今の体制を大変革しない限り、この未曾有の国難を乗り切ることはできまい。コラムニストの勝谷誠彦さんが言うように「バカが国家をやっている」では駄目なのだ。
 出でよ!本物のリーダーたち。
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