春まだ浅い信州路

 午前6時20分に豊田南ICから伊勢湾岸道路に上った。東名高速の豊田JCTを経て、霧の東海環状自動車道をひたすら北上し土岐JCTで中央自動車道に入る。恵那山を右手に見ながら快走し岐阜と長野の県境を越えたのは7時20分、ここまでは順調ですな。駒ケ岳SAでコーヒータイム、なんてったってこのSAからの中央アルプスの眺望を楽しまなくっちゃいけない。南の空木岳、北の木曽駒ケ岳を見上げながらコーヒーをすするのは最高じゃのう。
 一度、厳雪期に駒ケ岳の頂上に連なる細い尾根に立ったことがある。伊那谷側は晴れているにもかかわらず、木曽谷側は尾根までびっしりと雲に埋まっていた。尾根の右左でまったく天候が違っている。なんだか大自然の荘厳さに打たれましたぞ。ときおり強い西風に千切られた雲の破片が気まぐれに伊那の空を飛んでいくのがご愛嬌だった。
 そんなことに思いを馳せながら伊那路を北に走り松本ICを出たのが8時30分だったのでまずまずの旅程である。
 午前中に所用を済ませて、昼食は蕎麦と決めていたので、松本市の南部で見つけた蕎麦屋に入って大ザルを注文する。「岩魚のいいのが入ってますよ」という案内をもらったので、一尾焼いてもらった。蕎麦は細い手打ちで、石挽きなので香りがいい。三分の二ほどを汁にひたして、一気に喉を通してごらんなさいよ。絶品だった。岩魚の塩焼きが出てくる。うっかり食ったら「あちあち!」となってしまいましたぞ。淡白な白身が香ばしくて、端麗な日本酒が恋しくなってしまった。いかんいかん、今日は車だし、この間、禁酒宣言をしたばっかりだったわい。
 その後、ブックオフを含め古本屋を5件ほど回って、せっかく来たので松本城にもよって帰宅したのは午後8時前だった。全走行距離487キロ、一人で運転したので少々疲れた。それでもね車中ではずっと円生師匠のCDを聴いていたので、退屈しませんでした。めでたしめでたし。