あの人は行って行ってしまった・・・

 鼻洟しくプロレスデビューを果たした和泉元彌くん、あなたはどこへ行こうとしているのだ。能狂言ファンから言わせてもらえれば発狂しているとしか言いようがないぞよ。
 茂山家を見よ。正邦(33)、茂(30)、宗彦(30)、逸平(26)など元彌くんの同年代は狂言に精進し頑張っている。きみの又従兄弟の野村万斎(39)も活躍しているのだ。名古屋を本拠地として活動をしている和泉流野村又三郎家の小三郎(34)も研鑚を続けており、舞台は見るたびに安定感を増している。プロレスのリングで空中元彌チョップをやっている場合ではない。(といいながらも、ワシャのプロレスファンの部分が喜んでいるところもある)
 元彌が連綿と続いてきた狂言の世界から足を洗うというなら仕方がないが、少なくとも狂言師を名乗る以上、能舞台以外には登るべきところはない。プロレスのリングにいる元彌はあまりにも惨めだ。
「牝鶏(ひんけい)の晨(あした)するは、惟(こ)れ家の索(つ)くるなり。」
「めんどりが時を知らせるようになったら家が滅びるぞ」と『書経』には書いてある。どうも和泉元秀家、牝鶏セッチーが鳴くようになってから狂ってきたようだ。
 ここに『NHK大河ドラマストーリー北条時宗』という雑誌がある。表紙は凛々しい元彌くんである。平成13年には錚々たる役者陣に囲まれて大河の主役まで勤めたんだよね、それが僅か4年でものすごい凋落をしてしまった。
 雑誌の中には「狂言師 和泉元彌の魅力」という記事がある。この中で《父(元秀)は和泉流に伝わる現行254曲を存命中にほとんど元彌さんに伝え残したという。》と書いている。また《「元彌には20年分余計に芸の貯金をあげてあるから何が会っても大丈夫だよ」と(父が)元気なころに言ってくれた。》とも言う。これは明かに嘘だね。元彌が如何に天才であろうとも21歳(父は元彌21歳の時に亡くなっている)までに254曲を相伝できるはずがあるまい。それに20年の貯金ができるはずもない。父亡き後、礼を尽して先輩たちに芸の教えを乞う以外に貯金などできるわけがなかろう。21歳の掛けだし狂言師狂言を舐めてしまったんだね。それでは芸を極めることはできない。
 アホなマスコミは元彌のプロレス参加について能楽協会にコメントを求めた。
「すでに退会している方ですし、プロレスのことでコメントする立場にはありません」と当然のことながら無視をきめこむ。
 どこへ行くのか和泉元彌・・・
「あの者を誰そ止めてくれい、やるまいぞ、やるまいぞ、やるまいぞ、やるまいぞ」