老主人の案内の通り、すぐに司馬遼太郎記念館は見つかった。ぐあ!しかし、な、なんと月曜日は休館日だったのだ。ワシャは記念館入口の鉄製の門扉にしがみついて「なぜじゃー!!」と叫んでいた。
仕方がないので、司馬さんが生活をしておられた小阪周辺を歩くことにした。司馬さんはこの辺りのことを「近所の記」というエッセイに認められている。(エッセイ集「司馬遼太郎が考えたこと9」に収録)
《ただ残念なことは、旧村の江戸、明治のにおいのする民家が、最近、新建材とアルミ・サッシの戸をつかってさかんに建てかえられていることである。ここ一、二年、とくにその傾向がひどくなった。》
と、町の都市化を嘆いておられたのだが、司馬さんが平成8年に亡くなられて以降、 その傾向には益々拍車がかかったのではないか。残念ながら司馬遼太郎邸周辺に江戸、明治の臭いはその片鱗すらなかった。