被災瓦礫をめぐる問題

 今朝の朝日新聞に「東海発大震災1年を考える」という記事がある。
 その中に愛知県あま市議会に「瓦礫処理は受け入れ反対」の請願を出した女性(38)の話が載っている。女性は言う。
「復興支援は必要だけど、わずかでもうちの近くに放射能が出たらいやです」
 国の発言がまったく信用できない現状で、二人の幼子を抱える母親の言うことも理解できる。しかし、受け入れるのは岩手や宮城のもので、放射能に汚染されたものではない。それさえ「自分の身辺に持ち込むのは嫌だ」と言うのでは、どうしようもない。
 現実に、その瓦礫は岩手や宮城に野積みされているし、そこには子供たちも暮らしている。
 自分の子供の安全を確保するために、東北の子供たちは危険(危険じゃないけれど)な瓦礫の中に放置したままでいい、というのもいささかエゴが過ぎる。

 受け入れに消極的な自治体の首長たちの態度も情けない。
「だって選挙があるでしょう。触らぬ神にたたりなし。受け入れなくても、批判はされないから」
 そんな中で、静岡県三島市桜井市長は瓦礫を受け入れた。偉い!そして、ノイジー・マイノリティを黙らせるために、市役所のロビーで被災地瓦礫の焼却灰と、島田市から出た家庭ごみの焼却灰を並べて、「心配なら、自分で測りなはれ」とガイガーカウンターを常備した。実際に計ってみれば、岩手や宮城の瓦礫に心配されるような線量は出ない。当たり前だ。

 東京都、青森県山形県は瓦礫の受け入れを始めている。そこにだって、子供たちはたくさん住んでいる。自分の周囲さえ安全ならそれでいい、あまりにも利己的過ぎないか。

 あま市議会に提出された請願は採択されたという。この請願を出したのは、極めて心配性な女性一人である。彼女に賛同しているのは、全国で数十人のママ仲間だそうな。おいおい、この声が本当に国民、県民、市民を代表する声と言えるのだろうか。
 女性の家族ですら、この運動を快く思っていないという。家族にも賛同されない、全国でも数十人程度のノイジーが言っていることを、採択してしまって大丈夫か、あま市議会。

 でも、子供の安全とか、市民の健康とか言われると、反対しにくいわなぁ。そこにつけこんで請願を提出しているところがあざとい。この女性にそんな知恵をつけたあま市議がいるが、なに系の議員だろうね、とても興味がある。