焼きそばパン踏んだ

 ワシャは焼きそばパンが好きだ。コッペパンの背を縦割りにして、そこへ焼きそばを挟んだ惣菜パン、皆さんもお好きでしょ。
 先日もふらっと立ち寄ったコンビニで焼きそばパンを見つけて思わず買ってしまった。レジ袋を断り、いつも鞄に準備してある紙袋をくつろげ、そこに焼きそばパンを入れて仕事場に持参した。
 その日は朝から忙しく、独楽鼠のように社内を走り回っていた。すっかり焼きそばパンのことは忘れてしもうた。昼前に自席にもどって「やれやれ」と一息ついたところに、社長から急ぎの呼び出しがあって、「すわ!」とばかりに椅子を蹴って席を飛び出す。その時、足元で「パン!」という破裂音がした。
「何じゃ?」とは思わなかった。右足の靴底に「グニャ」という感触と「パン!」という衝撃波が伝わったのだ。「パン!」の因は「パン」だった。
手提げの紙袋を机の脇に立てかけておいたのが、どういう具合か倒れており、それをワシャが飛び出した時に踏んだのである。焼きそばパンはラップで完全密封されている。そのラップが破裂したのね。
「あちゃー、紙袋の中で焼きそばパンはぐちゃぐちゃになっているに違いない」
 そう思って、恐る恐る紙袋を広げてみると、なんと健気ではありませんか。焼そばパンはラップの一部が破れ、扁平になってはいるものの、まったく問題ない、モーマンタイな状態だった。もちろんもったいないから食べちゃった。
(下にもあります)