葛飾北斎展

 名古屋高島屋で「葛飾北斎展」をやっているのでのこのこと出かけた。
 ワシャが葛飾北斎という画人と出会ったのは古い。小学生の頃、切手収集のブームがあり、この時に国際文通週間シリーズの「神奈川沖浪裏」を手に入れた。生まれて初めて見る北斎に、「インパクトのある凄い構図だな」と思ったのを記憶している。
 ガキンチョの印象は正しかった。北斎という画人はとてつもない大天才だった。彼の書いた絵手本「北斎漫画」は生前からフランスで注目されているし、「神奈川沖浪裏」などの斬新な表現方法は欧州の画家たちに強い影響を与えている。
 いやー、130点に及ぶ北斎の作品がずらりと並ぶと迫力がありましたぞ。もちろんとびきり有名な「富岳三十六景」シリーズは見応えがあったが、ワシャが好きなのは「鶏図」という肉筆の小品だ。寄り添う雌雄の鶏が墨と紅だけで描かれている。これが凄い。雄の鶏は尾羽をピンと跳ね上げ、今しも飛びかかってきそうな迫力なのである。北斎は動物画を多く書いているが、この鶏が一番いい。
 さすがの北斎も見たことのない動物の絵はとぼけている。「月見る虎図」の虎は猫のようだし、「雨中の獅子」の獅子は、頭が剥げたしょぼくれ親爺の顔になっていますぞ。まぁそれはそれで面白いんですがね。

葛飾北斎展」はJR高島屋であさってまで開催している。興味のある方は急がれませ。