句読点で目から鱗 その1

 注文しておいた本が書店に届いた。大類雅敏編著『句読点活用辞典』栄光出版社である。新聞一面に広告が出ていたので思わず買ってしまった。内容は60種あまりの句読点についての辞書だ。え!句読点って「、」と「。」だけじゃなかったのか。この本によれば「文法的句読点」(←このなかに「、」と「。」が含まれる)「修辞的句読点」「語源的句読点」「参照的句読点」の四種類があるんだそうな。
 司馬さんが頻繁に使っていた「――」は「ダッシュ」とか「ダーシ」あるいは「中棒」「単柱」と呼ぶのだそうだ。
『濃尾参州記』ではこんなふうに使っている。
《信長は、いわば懦弱な尾張兵――それも小部隊――をひきい、はるかに駈けて桶狭間で休息中の義元の軍に突入した。》
ダッシュ」は語句の切れめを示す文法的句読点で、かっこよりは、くくられる事柄を、より明瞭に、より決定的に引き立たせるということらしい。確かに司馬さんの文章でも「小部隊」という言葉が強調されている。
《信長は、いわば懦弱な尾張兵、それも小部隊をひきい、はるかに駈けて桶狭間で休息中の義元の軍に突入した。》
 これだと、「小部隊」ということがぼけてしまいますな。さすが司馬さんじゃ。
(下に続きます)