豊川閣界隈 その1

 ちょいと験直しに豊川稲荷に出かけた。丁度、春季大祭だったので門前町もほどよく賑わっていた。総門をくぐって境内に入る。露店の並ぶ参道を御本殿に向かって歩くと境内のあちこちでいろいろなイベントが開かれており、さながら「古式ゆかしき博覧会」のようだった。
 山門を抜けると右手に立願所(ご祈祷受付所)がある。その前の広場では「戸山流居合道会」による「居合抜演技」が行われていた。いかにも気合の入ったおじさんたちが真剣で青竹を一刀両断にする。これはなかなかの迫力だったね。太い青竹はなかなか斬れませんぞ。それを何本も立てておいて、スパスパ斬っていくのである。「お見事!」とつい大向こうから声を掛けてしまった。
 山門の左手の漱水舎(手洗場)の周辺では骨董市をやっていた。いろいろな古物がもっともらしく鎮座している。その中に薄汚い抹茶茶碗があり8000円の値札が張ってあったが、よく見ると瀬戸物市へ行けば3000円程度で売っているような安手の茶碗だった。そんなことを思って店のおやじを見ると、ワシャの心を読んだか小ずるそうに「ニヤリ」と笑った。このいかがわしさが何とも言えずいいんだなぁ…
 その他にも猿回し、ジャグリング、和太鼓演奏、ストリートダンス、歌謡ショー、餅つき大会などなどバラエティに富んだ催し物が用意されている。
 いろいろと見物して回りたかったが、取り敢えず今日の目的は「験直し」なので、御本殿に向かう。御本殿に上がって大枚○○○円を賽銭箱に投げ入れて「オンシラバッタニリウンソワカ」と真言を唱えて拝礼し「ついでに運もつけてね」とお願いをしておいた。
 参拝を済ませて本殿前にある立て看板を読んでいたら鳥の糞の直撃をくらってしまった。さっそくお稲荷さんはワシャの願いを聞き届け「ウン」をつけてくれたようだ。
(「豊川閣界隈 その2」に続く)