人生80年 その1

 1991年版の『ベスト・エッセイ集』(文藝春秋)に、先日、80歳で亡くなった古橋廣之進さん
http://fu-hou.com/2600
のエッセイが載っている。この中で、古橋さんは世界新記録を出して優勝した全米選手権大会を振り返ってこう言っている。
《泳ぎ方の理論だとか栄養だとかを考える以前に、自分にぶち当たる辛い山、プらトーというやつを「越える」ことができた選手は本当に強いと思う。》
 世界で頂点を極めた御仁に、こう言われちゃぁ若い者は反論できませんわなぁ。古橋さん、このプラトー(頭打ち状態)を越えるために「真剣に祈れ」とおっしゃる。祈って勝てればそんな楽なことはないが、精神論に入っちゃった段階で、日本水泳連盟の若手たちはやり難かっただろうね。
 でもね、この人の偉いのは、このエッセイの中で「人生は80年」と看破しているところだ。18年前にそう予言して、見事に80歳で彼岸に逝った。お見事!
(下に続く)