プレゼン能力を身につけよ その1

 どこの自治体ということは言わぬが花だから言わないが、夕べ、ある地方議会の質疑応答を見た。
 ある議員が質問に立っていたが、執拗に市長への攻撃を展開していた。途中から見始めたので詳細はわからないが、言っていることは、「市長が公開している日記のようなものに嘘があるから、書くのを止めて、日程の羅列だけにしろ」ということらしい。
 早速、この議員の指摘している件の市長が書いている日記なるものを読んでみたが、何も問題のない日々の記録じゃないか。それに対してこの議員は「私、びっくりしました」と2度も議場で口にしている。この議員、何をそんなに驚いているのか。お前はウサギか!
 この議員の質問は終始エキサイトをしていた。議会の質問ではあんまり興奮しない方がよろしい。冷静さを失っているように見られるのはマイナスだ。それに、発言の合いの手のように「ネエ」「ネエ」「ネエ」と発言の間に挟むのは聞き苦しい。こんな具合だ。
「私、びっくりしました。ネエ!市長の日記を止めてもらいたい。ネエ!1時間で名古屋まで行ったんですよ。ネエ!あなたが公約したことですよ。ネエ!今でもあなたの公約を、ネエ!額に入れて、ネエ!かざっている、ネエ!市民も、ネエ!ネエ!ネエ!ネエ!」
 うるさい!ヤギじゃあるまいし、ネエネエネエネエ言っているんじゃネエ。あ、ヤギは「メエ」か……
 そんなことはどうでもよろしい。ただね、ワンフレーズ発言するたびに相手に同意を求めるのはよせ。自分の意見が空疎だから、相手にそれに対する承認を強いることでしか認めてもらえなかったんだね。それが身についてしまってこういう聞き苦しい発言になる。
 地方議員でも質問やプレゼンの上手い人はいる。要は日々研鑚しているかサボっているかの差である。勉強する気になれば国会中継にかじりついてプレゼン能力の高い国会議員の真似をすればいい。そういった努力をしないから、そして客観的に自分の演説を評価しないからヤギのような質問になる。何の恨みがあるのかは知らないが、市長の足を引っ張るだけの詰まらぬ質問をしている暇があったら、もっと建設的なスマートな質問に切り替えた方がいい。その方が市民のためだと思う。できればの話だが。
(下に続く)