逃げるな

 平成15年1月、川崎市で少年が列車に轢かれて死んだ。あの事件、覚えておられるだろうか。
 中学3年生の少年が古書店に現れて、本を6冊万引した。店主はその少年を捕まえて連絡先を尋ねるのだが、詰まらない知恵をつけている少年は頑として口を割らない。どうしようもないので店主は警察に通報した。当たり前だ。
 警察がやってきて少年に任意同行を求めるのだが、少年は隙をみて逃げ出した。警察は追跡をするが、少年は警報機のなっている踏切内に侵入し列車と激突したという顛末である。
 一昨日は群馬県伊勢崎市で信号無視をした男がパトカーに見つかって、これも逃走を図った。パトカーはサイレンを鳴らして追跡したが見失ってしまう。次にこの男の車を発見した時には、大型トラックと正面衝突しており車に乗っていた4人が即死した状態だった。
 この2件、警察にはまったく過失がない。もし「ある」と主張するバカがいれば、そいつは「犯罪行為を容認するバカ」ということになるだろう。警察に対する批判を臭わせたテレビ局もあったが、とくにこの2件に関しての批判は間違っている。

破れ窓理論」というものがある。大きな建物があって、たった1箇所の小さな窓を割れたまま放置しておくと、その窓から埃やゴミが侵入し次第に建物全体が荒廃していく、つまり、軽微な犯罪を見逃すことは凶悪犯罪の種を放置することであり、やがては犯罪の増加につながっていく、という理論である。
 勝手に逃走を図って、勝手に自爆した件で、いちいち警察が言い訳をしているようでは、破れ窓は修理できないやね。サヨク人権屋どもの言い訳を求める風潮がじわじわと警察の活性を奪っているような気がしてならない。

 昨日、昼の番組「きょう発プラス!」に戸塚宏戸塚ヨットスクール校長)が生出演していた。彼の空疎な教育論に与するつもりはないが、一点だけ気になることを指摘していた。それは「今の人間はすぐに逃げる」ということである。辛いことや苦しいことに直面するとすぐに逃避してしまう。また責任や義務を負うことを避けてしまう。それは登校拒否の子どももそうだし、子どもと向き合うことからエスケープする親もである。もちろん警察から遁走した連中も同じだ。
 現実から逃げるな!(自戒も込めて……)