東奔西走 その1

 昨日は大変な一日だった。1日に浜松に出張して浜松泊となった。2日の朝、ホテルでテレビを点けてみるとどの局でも大雪のニュースだった。おいおい、新幹線も在来線も大混乱をしているというではないか。嫌な予感がする。
 一仕事済ませて、急ぎ自宅に戻って書類を持って今度は名古屋へ行かなければいけない。急いで浜松駅にゆく。案の定、ダイヤは乱れていた。予定していた大垣行きの新快速は豊橋までしか行かないという。豊橋から先はどうなるのか、JRからの説明はなかった。少しでも名古屋に近づいておかなければという気持ちから、大きく遅れた列車に取り合えず乗り込む。
 乗り込んでから気がついた。「ああっ!新幹線で行けばよかったのに・・・」
 各駅停車の在来線を新幹線は無情にもあっという間に追い越してゆくのだった。
 まぁいいや。車内はほどよく空いており日差しも暖かだ。カギも酔っ払いもいないので比較的静かである。沢木耕太郎の文庫を持っていたので早速読み始める。うーむ、どうして電車の中は読書が進むのだろうか。振動が集中力を高めるのだろうか。気がつけば豊橋についていた。車内の案内では、「5番ホームから名古屋方面行きが出発します」と言っていたので、7番8番ホームで降車したので、急いで隣のホームに移るべく階段を上り始めると、ホームのアナウンスは「降りたホームの8番線でお待ちください」と言っている。あわててまた逆戻りして列に並ぶのだが、いつその列車が入ってくるのかがアナウンスされない。ホームは凍えるような寒さで尿意を催してきた。トイレに行きたくともその間に電車が来てしまったら、と考えると行くに行けない。次がいつ来るのか保障がない以上、今度の電車にどうしても乗らなければいけない。膀胱炎になったらどうしてくれるんだ。
 堪えて待つこと30分、ようやくやってきた電車に乗り込んで、車内のトイレに駆け込み、ぎりぎりセーフと相成った。
(「東奔西走 その2」に続く)