安上がりな一日

 昨日、所用があって前の職場に顔を出した。次の用事まで30分ほどの時間が空いたので、ブックオフをのぞいてつらつらと棚を眺める。自転車で動いていたので、そうたくさんは買えない。
荒俣宏『ブックライフ自由自在』(太田出版
『世界名画全集 続巻3』(平凡社
『マルク・シャガール』(artlys)
の3冊である。
 荒俣さんは近くの市民会館で講演会があったときに、運よくお話する時間を得た。雑談とはいえ1時間半にわたっての荒俣さんの独演会(お客は奥さんとワシャだけね)はとてもおもしろかった。だから、荒俣さんの書籍があれば必ず新刊にしろ古書にしろ買うことにしている。
『ブックライフ自由自在』は荒俣さんの古本収集日記のようなもので、本を入手するためには金に糸目をつけない荒俣さんの徹底した姿勢が格好いい。お会いした際に、サインをお願いすると「本は一生の友達だよ」と書いていただいた。荒俣さんの域には到底達することはできないけれど、友達は日々増殖してワシャの生存空間を狭めておりまする。
『世界名画全集』は安田靫彦小林古径前田青邨だった。発行年は昭和38年でかなり古い。50数年を経ているので古書の臭いもしみ出していて、安くても買うのを躊躇する程度のものだった。安田靫彦が好きなワシャは、すでに何冊か画集を持っている。
『日本の名画14 安田靫彦』(中央公論社
現代日本美術全集14 安田靫彦』(集英社
 へぇぇどちらも14巻なんだ。偶然でしょうかねぇ。
安田靫彦展一九九三年』(AICHI ARTS CENTER)
『新潮日本美術文庫34 安田靫彦』(新潮社)
てなところですわ。ワシャの持っている4冊は発行年が比較的新しい。このため印刷技術も進んでいて、絵の発色も鮮やかだ。それに4冊も持っていると安田の作品はほとんど網羅されているので、古くて臭う染みだらけの古書を求める必要はない。
 でもね、ペラッとめくったら内表紙に「土偶」という素朴な作品が載っていた。これは見たことがなかった(今、ネット上で検索してみても見当たらない)。その他の作品はあらかた他の作品集で見たものばかりだったが、この「土偶」は初見だった。これだけで買うことにした。古径も青邨も好きな作家だしね。
『マルク・シャガール』(artlys)は、ニースにあるマルク・シャガール国立美術館
https://www.tour.ne.jp/w_review/NCE/sightseeing/spot/1317428/
の公式見学ガイドだった。
 シャガールはやはり好きな作家で、シャガール展の図録を持っているが、やはりそこに収められていない絵が、このガイドにはあった。ステンドグラスやタイルの作品もあって見所が満載だった。
 家に戻って、それらを眺めていると、すでに午後9時をまわっていて、テレビでは「出没!アド街ック天国
http://www.tv-tokyo.co.jp/adomachi/
が始まっていた。今回は「上野寛永寺」界隈で、ワシャが東京でも一番好きな場所であった。そして、ゲストが荒俣宏さんときては、これは見るしかないということで、熱燗をつけて、友達からもらった青森産の塩辛で一杯やりながら荒俣節と寛永寺周辺の風景を楽しんだのでした。
 本は3冊買って1000円でおつりがもどってきた。移動は自転車なので3駅分ほど走ってもタダ。お酒もつまみももらいものだからロハ、安上がりな1日だった。