今年の漢字」は「熊」だった。まぁ予想どおりですわな。

「熊突や爪かけられし古布子」(くまつきやつめかけられしふるぬのこ)

 漱石の弟子の松根東洋城の句である。「熊を突くための槍の穂先が危ないので、熊の爪に引っ掛かれた着物布(きれ)を撒いて保管しています」ということ。

「熊」は冬の季語であり、「熊突(くまつき)」も同様である。「熊突」というのは、山中で冬眠している熊穴を探し、そこから誘い出して槍などで突いて仕留めるという猟法である。まさに寝込みを襲うっていうやつですね。でも、熊のほうも目を覚ませば狂暴なわけで、爪をむいて猟師に襲い掛かってくる。おそらく槍の所有者は引っ掛かれたことがあるんでしょう。歌川広重が「熊突」の絵を描いています。これね。

《大日本物産図会 加州熊並ニ胆ヲ取ル図》

https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/611603

 上記を観ると、5人がかりで熊と対決している。3人が斧であったり鎌のような武器を振り上げ、2人が切り出した木で熊を押さ込む。なかなか迫力のある絵だ。

 冒頭の句を歳時記で探していて、ついでに南方熊楠の命日が冬の季語だということを知った。

「釣れてをる腮の魴鮄熊楠忌」(つれておるえらのほうぼうくまぐすき)

 岡井省二の句。12月末の休暇で釣りにいったんでしょうね。そこでソコホウボウを釣り上げているという情景を詠んでいる。ホウボウの顔と熊楠の顔が似ているとも言いたいのかも(笑)。申し訳ありません。熊楠はなかなかの美男子でした。

 しまった。熊楠の話題になるとワシャはちょいと反省しなければならない。熊楠の著作『十二支考』(岩波文庫)の上下巻が書庫にあるんだけど、まだ読み切れていない。というか、ちょっと読んで挫折してしまった。これも片つけておかないとちっとも本の整理ができやしない。

 最後に「熊掌(ゆうしょう)」について。これはジビエ料理の中ではかなり美味しいと言われている。というか、支那では「八珍」と言って、古代から珍重されてきた食材なのだ。

 ワシャは猪、鹿、豚足くらいは食べたことあるが、熊の肉は食ったことがない。熊の胆なら飲んだことがありますが、それは料理ではないからね。いわんや熊掌においてをや。

 食べたことはないですが、食べろと言われても掌のままだとちょいとグロテスクかなぁ。でも機会があれば食べますよ。だから、左巻き動物保護原理主義者の言うことなど無視をして、熊狩りをやればいいのであ~る。