余計なことは言わない

 今朝の朝日新聞地方版。ここは武士の情けでどことは特定しないけれど、西三河の某市長が定例の記者会見で、今回の衆院選の結果について触れたんだそうな。

「西三河の愛知11、12、13区から自民党衆院議員が一人もいなくなったことは、地域としては懸念がある」と述べた。

 何点か指摘しておくが、自治体の首長が国政の議員云々については発言しない方がいい。なぜか?いいかい、その議員が二階俊博だったり、岸田文雄だったりなら、地元首長が明確な「自民推し」をしてもいい。だが、1期生や2期生、あるいはロートルで役に立たない自民党議員に義理立てしても見返りはないと思わないと。せいぜい省庁への案内係と言ったところでしょう。

 それに某市長のいう「11、12、13区」は圧倒的に組合系の強い地盤だ。トヨタ城下町の11区を筆頭に12,13ともにトヨタの恩恵なしには成り立たない地域である。

 ということは、たとえ左巻きの枝野や辻本がリーディングする立憲民主党といえども、今回の選挙結果からもある一定の勢力として存在感を示しているし、11区の国民民主党の丹羽氏は大差でお爺さんに勝っている。それに12区の重徳氏は野田代表の腹心であり知恵袋であり、13区は6期目の大西氏である。自民系の1期目なんぞよりよほど役に立つだろう。

 ここは地元の衆議院議員が野党になったことを踏まえ、「西三河から自民党衆議院議員がいなくなったけれども丹羽さん、重徳さん、大西さんには地方自治のために力を貸していただきたい」とでも言っておけばよかった。間違ってもこの投票結果により「懸念がある」などと言う必要はない。

 いいかい。11,12,13区で自民に投票した有権者は267,083人、対して旧民主系は399,412人、維新・共産を含めると465,942人となる。その差は190,859人で圧倒的と言っていい。

 さらに付け加えれば、11区のお爺さんは、1期目から連続3回選挙区では敗退し、4回目は引退を決めていた。ところが労働系議員が選挙に出なかったために漁夫の利のようなかたちで選挙区初当選をする。もちろん労働系候補が出れば大負けは予定通りだった。12区、13区も4期続けて野党(労働系)が勝っている。それも大差をつけて。

 西三河の住民(有権者)は賢明である。10年も前から自民党に「否」を突き付けてきた。しかし「比例復活」というゾンビ制度に救われて、どの落選議員も自民党議員として復活してきただけのこと。

 ワシャは本居宣長に支えられた保守である(笑)。軽々にリベラル系の議員を支持するものではないが、安倍晋三氏亡きあとの自民党という不甲斐ない政党には愛想がつきる。政策によっては立憲民主よりも左によった党、そして金に利権にまみれることといったら、他の政党の追随を許さないくらい杜撰でだらしない。支那への対応についても親中公明に引きずられてグダグダになっている。

 これらの結果が今回の過半数割れにつながっていることを、地方といえども政治をあずかる者はしっかりと弁(わきま)えて発言しなければならない。