忙しくても気の持ちよう

 日曜日に地元でちょっとしたイベントがあって、その準備から撤収まででかなり重労働をした。今も肩、腰、太もも、足首には湿布が貼ってある。どうも年を重ねてから疲れというやつが翌日どころか2日目、3日目に出るようになった。困ったものじゃ。

 それはそれとして面白いこともあった。ワシャはイベントの30くらいあるテントの中の防災コーナーを担当していた。もともと凸凹商事の防災部門にいたからね。そこには市の職員が1人と消防OBが2人、消防団員が10名ほど詰めてくれて、消火活動の指導や、ミニパトの試乗、段ボールベッドの体験、能登半島地震のパネル展示・解説などをやった。

 そうしたらね、本部から人がやってきて「ワルシャワさん、ボランティアを1人付けてもいいですか?」というから、人は多ければ多い方がいいから「いいよ」と答えておいた。

 それから10分後、本部の人がボランティア要員を1名連れてやってきたのだった。眼鏡をかけた中学生だった。名札を見ると2年生だったが、2年生にしては小柄だな。半袖の体操着から出ている二の腕も細い。

 ワシャの中2の頃といえばもうクソガキで、柔道部で体格もよかったから、どうだろうこの子と比べると一回りはでかかったなぁ。

 力仕事というのも難しそうだが、それでも折り畳み椅子を運ばせたりしたが一所懸命に頑張っている。次にトラサク(パイプバリケード)を並べさせた。軽量だがモノが大きいので持ちにくく「無理せずに1台ずつでいいから」と言っておいた。大人は2~3台でもどうということはないけれど、小さな子供が持っていって組み立てるのはなかなか大変だろうと思ったからね。

 最初は1台ずつだった。だけど途中から2台を運んで組み立てている。ほう、なかなかやるじゃないか。

 その他には能登の被災者真の展示の前で、防災NPOがまとめたパンフレットを配布する役割を与えた。それもしっかりとつとめてくれた。ただ、イベントにやってくる連中は、ただでパンを配るブースとか、町が配った金券を使えるところとか、ゲームをやると景品がもらえるところに殺到し、能登の被害など二の次三の次なんだわさ。

 だから防災ブースには閑古鳥が鳴いていた。

 でも少年はマジメに座っていてくれて、たまに「休憩しながらやりなさい」とか、陽があたってきたので「お客が来ないからテントの中に入りなさい。写真パネルに興味を示す人が来ればパンフレットを渡してね」というとうれしそうにテント内に入っていく。

「このパンフレット読んでていいですか?」と言うから「いいよ、読んだことを説明できるといいね」などと笑いながら話していたら、お爺さんが寄ってきた。

「これは能登の写真かね?」と訊いてくるので、ワシャが解説をしていると、少年がテントの中からパンフレットを手にして現れ、お爺さんに「これ読んでください」と手渡してくれた。

 ううむ、いい仕事をしてくれるじゃないか。

 少年とのコミュニケーションがとても有意義だった。お陰で楽しい1日となった。体じゅう痛いけど(笑)。