今日の朝日新聞1面の「百年 未来への歴史 序章 瀬戸際の時代」と題された論が載っている。大きな見出しは「外交と世論 危うい関係」である。総字数4000の大論文だ。
内容は無いよう。ざっとまとめれば、現在、【世論のせいで日本と支那の関係が悪くなっている】と言い、【満州事変の前後でも世論が影を落としていた】と百年前を回顧する。
【外相となった松岡は日独伊三国同盟を結び、日米開戦への伏線となった】
日米開戦はそんな単純な話ではなく、背後にソビエト・コミンテルンなどが複雑に絡む魑魅魍魎の暗躍があった。三国同盟も日米開戦も共産主義者たちの世界戦略の一環でしかなかった。
【戦前の世論は対外強硬に傾きがち】
【百年前はマスメディアの興隆期だった。ラジオ放送開始(中略)雑誌の普及。メディアは世論にのみ込まれ、あおりもした】
まさにこれを主導したのが朝日新聞だったよね。よくもヌケヌケと仰いますこと。日比谷焼打ち事件を扇動したのは「大阪朝日新聞」だったよね(笑)、中央公論社の『日本の歴史』にしっかりと書いてあるよ。戦争中の戦争煽りの記事もいろいろと残っている。その新聞社が「世論にのみ込まれた」って話が逆でっせ。
現代の朝日新聞の論を続ける。
【為政者は意図して世論を操ることがある。(中略)それは民主主義の国だろうと独裁の国であろうと変わらない】
後段、アメリカのジャーナリストの言を引いてくる。
【リップマンは、世論と外交の橋渡しとしてジャーナリズムの責任は重いと考えていた。ジャーナリストも自分たちの見たいものしか見ない傾向があり・・・】
と、自戒しているが、果たして朝日新聞のジャーナリストたちは、この警句をしっかりと受け止めているだろうか?
今日の論の締めに上智大学教授の佐藤卓己氏の言である。冒頭の「自分たち」というのは「新聞記者、メディアの連中」ということです。
《自分たちは影響されないが、世間の人たちはきっと強い声に影響される――。》
「影響されるバカ」ということでゲスな。そして教授はメディア関係者に「バカは熱しやすく冷めやすいと知り、より長期的な、お花畑な未来が見えるような視点を示していきなさい。愚民は愚民だから」
と言っているように、愚民(ワシャね)には聞こえた次第でございます。