慎みのない人

 先週、某市役所に行ったときのこと。農業部門のフロアを通りかかった。この市役所、古い庁舎のほうは、見通しの悪いオフィスで狭っ苦しいのだけれど、新しい(といっても築40年ほど)庁舎は、東西南北に窓があって開放的なスペースとなっている。真ん中に通路があって、そこを通ればオフィス全体が見渡せる。

 前の市長が吝い人だったので、新庁舎の建設ができなかった。だから机の並びに若干の手狭感があるけれど、それでも風通しもよく、明るい雰囲気になっている。

 え、なっている?

 あれれ、なってない。

 オフィススペースの窓側の真ん中あたりにパーティションで囲われた場所ができている。だからオフィスの見通しが効かなくなってしまった。あのパーティションの周囲に職員の席もあるが、けっこう圧迫感がありそうだ。そもそも風通しが悪かろう。いったい、どうしたの?

 尋ねてみれば、その場所はずっと土地改良区の理事長の席だったところで、今度、新理事長に交替してから、パーティションを付けることになったんだそうな。

 ああ、そういえばそうだった。以前も時折、職員でない人がそこに座っているのを見かけたことがある。でもね、ワシャの記憶を遡ってみても、その理事長席の周辺にパーティションなど立っていたことなどない。

むしろ、その席の主はたまにしか登庁しないので、何も置いていない広い机は作業スペースとして使い勝手がよかった。そこに図面や書類を広げて仕事をすると捗るでしょ。

 しかし、新理事長は見通しや風通しよりも、自分専用のスペースを欲した。その結果の仕切りである。月に何度その席に座るのか知らないが、毎日、朝から晩までその周囲で働く職員の快適性、利便性よりも、己の都合を優先する・・・そういう自己中なヤツは誰かと問えば、なんと前市長様でありました(苦笑)。市長室という個室からおっぽり出され、流れ流されて、パーティションで囲まれたこの場所に漂着したんだね。

 確か、追い出される最後の議会挨拶で、「今後、当分公職にはつかない」と言っていたにも関わらず、舌の根も乾かないうちに、充て職とはいえ、受けてしまうとはねぇ。信念があるならそれすら断って旅に出ろ。

 未練たらたらで居場所を求めて、自己都合でレイアウトまで変えさせるってどうよ?

 職員に訊くと、「頻繁にやってきて迷惑している」とのこと。

 もうちょっと慎め。