三日月や二匹つれたる河太郎

 今朝の「天声人語」である。冒頭に芥川龍之介の小説『河童』を引っ張り出してくる。

『河童』、芥川の死ぬ直前の昭和2年に上梓された。スイフトの『ガリヴァー旅行記』と同様の寓意的物語である。若者が信州の梓川沿いで霧の中で河童に出会うことから話が展開していく。

 天声人語氏、その中にある「河童のお産」の話を持ち出す。芥川は具体的に「産児制限」と書いているが、人権原理主義の朝日では、「河童のお産」に言い換えられる(笑)。

 産むか産まないの判断を、お腹の中にいる子供に聞くのだそうな。

 このあたりは芥川の原文がおもしろいので引いておきますね。

《父親は電話でもかけるように母親の生殖器に口をつけ、「お前はこの世界へ生まれて来るかどうか、よく考えた上で返事をしろ」と大きな声で尋ねるのです。》

 これに対してお腹の子はこう答える。

「僕は生まれたくはありません。第一僕のお父さんの遺伝は精神病だけでも大へんです。その上僕は河童的存在を悪いと信じていますから。」

 それを確認して産婆は「産児制限」をするということが書いてある。その手段も芥川は明確に記している。

天声人語」のおかげで、久しぶりに読み直してみたが、芥川はやっぱりおもしろいですね。それも『河童』は晩年の傑作と言っていい。

  おっと、「転性チンコ」の話だった。この芥川の名作をダシにしてこう言う。

《翻って人間の国で同じことがありえたら、どうだろう。(中略)私たちの社会は、母親のおなかの子どもが喜んで「生まれたい」と叫べるようなところだろうか。》

 以下で、日本社会をスコンポコンに誹謗して後、《河童のように選べるなら、誕生をためらう子もいるかもしれない。》と腐す。

 おいおい、大きく地球を俯瞰して見てみろよ。日本ほど安全で安心な国家がどこにあるんだい?気候も温暖だし、季節の変化は多様だ。歴史も深く、伝統文化は洗練されていて、国民性も温和である。ワシャはこれほどの国を歴史的にも見たことがない。こんないい国を、民族を「転性チンコ」は腐し続けて何十年だが、もう一回、日本の歴史、文化、日本文学も勉強し直したほうがいいよ。

天声人語」は、この「河童」の話に続けて、環境原理主義者のグレタ嬢ちゃんの迷言を持ってくる。

「若者はあなたたちの裏切りを許さない」

「あなたたちが話すのは、お金のことと経済発展が永遠に続くというおとぎ話ばかり」

 地球温暖化(?)に反し、経済活動を進めている大人を、子宮から出たばかりのグレタ嬢ちゃんが、河童に代わって叱責する。

 河童の胎児は批判的なことを言って、世に出てこなかった。世に出たグレタ嬢ちゃんは、嘘で固めた批判を繰り返している。

 例えば、環境に気づかってヨーロッパからアメリカ(逆だったかな?)に風を使ったヨットで移動すると言いながら、その大袈裟なイベントの下準備に大人たちが何人も飛行機で大西洋を行ったり来たりしている。その航空燃料の消費はいいわけね(笑)。

 先般、ダボス会議にやってきていたグレタ嬢ちゃんに、ジャーナリストの我那覇真子さんが直撃インタビューを試みた。その映像では、グレタ嬢ちゃん、メディアに颯爽と登場し大演説をする環境のジャンヌダルクではなかった。なにも答えることなく黙々と歩き去る、それはまるで木偶人形のようだった。

 そういった情報も伝えろよ、朝日新聞

天声人語」の締めがこうだ。

《きょうは「子どもの日」。私たちはいま、遠い未来の笑顔のためにすべきことをしているだろうか。まぶしい新緑のなか、自らに問いかける。》

 問いかけたまま穴から出て来るな!

 日本人の私たちはいま、日本の子供たちのために、すべきことをする。それは、支那が大量に排出しているCO2の削減ではない。削減するなら支那がまずやれ。日本は支那の誤差くらいしかない排出量を、乾いた雑巾を絞るようにして産業活動を制限している。それが日本の将来ためか!日本の子供たちのためか!

 ホント、「天声人語」は朝から気分を害してくれる。おかげで原稿用紙4枚くらいあっという間に書けるんだけどね(泣)。

 今日のタイトルの「三日月や二匹つれたる河太郎」ですが、河太郎はもちろん「河童」のことですね。そしてこれは芥川龍之介29歳の時の句。季語は「三日月」で秋のものなんだけど、他に河童の句が見当たらなかったので、これを使いました。「蝸牛俳句文庫3」の説明によれば《幼少から怪異談に親しんでいた芥川は、柳田国男の『山島民譚集』を読んで河童に興味を持ち》とあり、『河童』は芥川の集大成だったのかもしれません。