高齢者総白痴化?

 高須克弥先生のツイートで、「安倍氏国葬に関する岸田首相の説明」に納得したか、しなかったかで年代別に数値が出ているのを教えてもらった。共同通信世論調査結果なんだけど、共同通信という段階で眉唾ものなんだけど(笑)。

 でもね、その結果がおもしろい。「納得できた」が29歳以下で74%、30~60代で四分六から五分五分。70代以上が「納得できた」が23.4%、「納得できない」が71.4%と老若によって極端に回答が違っていることが注目点だ。

 分析者は「さすが朝から晩までテレビ点けっぱなし世代は違う」と言っている。確かに、テレビとか朝日、毎日、東京新聞などから受動的にしか情報を得ていないと「安倍氏国葬罷りならぬ」となりますわなぁ。

 高須先生は「こりゃ老害だ。かっちゃんは若者と同じだよ。納得できる」とツイートしているが、高須先生は能動的に情報を集めにいっているから、若者同様に正しい判断ができている。

 メディアリテラシーがいかに大切か、こういった時代になってきてよりその重要性が理解できるようになってきた。

 もう20年前の本になるけれど、日垣隆『情報の目利きになる!メディア・リテラシーを高めるQ&A』(ちくま新書)は名著だった。自宅にはこの本が3冊、職場に1冊を置いてあって、いつでも手に取れるようにしてある。

 この中で著者の日垣さんはこう言っている。

《マラソンをやったことのある方はよくご存じのように、わずかなスピード差が、あっという間に大きな差になって広がっていくものです。この分野では「1週間に30冊以上」をやりきれば大丈夫だろうと思い、そのペースを落とさずに現在に至っています。》

 新聞を1紙だけ眺め、あとはテレビの言うことを鵜呑みにしているだけでは、まったく何も見えてこない。少なくとも「ウクライナ」というキーワードを得たなら、それに関することは池上彰橋下徹の言うことを「なるほど」と首肯するのではなく、関連文献を当たってみようよ。ロシヤの侵略が始まってから5ヶ月をゆうに超えている。1週間に30冊とはいわないけれど、1週間に1冊読んだって、20冊は読める勘定だ。

 その上で、テレビのコメンテーターの言っていることを聞いてみなさいな。「?」と思えることが多々出てくるだろう。

 この間、いつもの本屋さんの棚で、酒井順子『月に3冊読んでみる?』(東京新聞)という本を見つけた。

 日垣さんのセミナーで「月に100冊」という目標を当たり前のように提示された身からすれば――と言いながら「月100冊」はとんでもなく大変でしたが――「月3冊」というのは、あまりにも本屋に出入りする本好きをバカにしているタイトルではないだろうか。まったく本を読まない人に対してなら「3冊読んでみる?」でいいけれど、今どきの本屋にあらわれるヘンな連中にそれはないだろう。出版社が東京新聞なんで「さもありなん」と手にも取らずに別の本を立ち読みしたのだった。

 つまり、東京新聞が対象にしているような本を読まない、資料にもあたらない、テレビの言うことが正しいと思っている人が、高齢者に多いということだけは解ったのだった。