成年の主張

《政活費無断引き出し問題、光本・尼崎市議を刑事告発 不明朗な出入金700万円か》

https://news.yahoo.co.jp/articles/254043b900f53597dc06d64560e7520d7a8b9edc

 こんな犯罪市議ばっかりがクローズアップされると、市議って悪いヤツばっかりだと思われまっせ。

 しかし、それほど犯罪者はいない。法に触れない程度に小狡いヤツは多少はいるだろうが、真面目な人のほうが多く、真面目だがマヌケなヤツはさらに多い。

 愛知県知立市の市議について8月1日の日記

https://warusyawa.hateblo.jp/entry/2022/08/01/110541

で、いろいろ言ったけれど、もう少し触れておきたい。

 これは中日新聞に掲載されているので、公開された情報ということで話をすすめる。議員定数は20人で、立候補届け出者が20人、よって当選者は20人ということになった。8月1日に言ったけれど、この結果を見れば議員定数が多過ぎることがわかる。冒頭の犯罪をするような議員を有権者が排除できるように数人は落とせるくらいの定員にしておかなきゃね。とすると知立市の適正な議員定数は16くらいだろうか。

 中日新聞には当選者の顔写真が19人載っていた。あれ、当選者は20人だったよね。よくよく紙面を見てみると、最後に届け出をした久世泰男氏(73)は「本人の希望で顔写真は掲載しません」と、本来は顔写真の載るところに小さい文字で書いてあった。おいお~い、選挙というものは「顔」と「名前」を売ってナンボのもんでっせ。そもそも顔は非公開ということは、ポスターすら作成していないんだよね。知立市に住む知人に確認したら久世氏のポスターは貼ってなかったという。

 万が一、もう1人立候補して、21人になれば当然のことながら選挙戦に突入することになる。その時に「顔」を晒さず、だからポスターも掲示せずに選挙に勝てるわけがない。

 さらに、結束力の強い政党に所属する某市の議員は、「立候補受け付けギリギリの段階で届出者は19人だった」と言っている。おそらく政党関係者が選挙管理委員会に確認をしたのだろうか。なにしろ締切直前に19人しか立候補者がいないということを他市の議員が確認している。

 そしてギリギリに久世氏が立候補届を出して20人になって、立候補受付は20人で締め切られ、20人は無投票となった。久世氏はポスターを貼る手間をかけることなく、ギリギリまで立候補届を待つという忍耐だけで最後の当選者となりおうせた。ある意味、したたかではある。

 友達のパセリ君と知立市議会の話をした。ワシャは8月1日の日記に書いたように、「高齢者は、こと地方自治には出しゃばらないほうがいい」という考え方である。パセリ君は、「高齢者でも働けるなら働けばいい」ということを主張していた。もちろんワシャもそう思う。能力のある人は70でも80でもいい。例えば80歳でも、年4回の定例議会では必ず質問に立ち、関連質問、議案質疑でも的を射た質問をし、委員会でも丁々発止と執行部とやり取りのできる80歳なら大歓迎だ。しかし、残念ながらそんな高齢議員は見たことがない。

 国政では政治、政略、政変などがつきもので、そういった場面では長老の存在も必要であろう。しかし小さな自治体の議会、それも首長に権力の大半が集中し、執行機関もすべて首長のもとに収斂しているようなところでは、チェック機関としての議員は必要であるが、政略を繰り広げるような土壌(議会)は、住民にとっては迷惑千万な話だろう。

 つまり政略家としての議員は地方議会にはそれほど必要とされてはおらず、どちらかというとフットワークのいい健康な身体と知的好奇心にあふれた人材が有用だと思う。

 年長者は、若手を育てることに努力をするべきである。自分がギリギリ滑り込むことに汲々とするのではなく、正々堂々、若い人材を自分の代わりに議会に送り込むべきではなかろうか?

 時代が下って、議員の地位が相対的に下落している。若い人が、現在の職業を投げ打ってまでしてなりたいと思う職業ではなくなった。

 だったら思い切ってボランティアに近いものにしてはどうだろう。給与など日当にして1日登庁すれば2万円とかね。その代わり、議員としての調査権はそれなりに持たせる。

 かつ、議会も夕方から夜、あるいは休日に開催するようにすれば、有能な若手が仕事を兼務しながら議員活動ができるようになる。

 そして行政調査という名の旅行も、真面目に3日間で先進事例を8か所回る議員たちがいる反面、調査先の「どこの魚が美味い」とか「どこの寿司がいい」とか、物見遊山、食うことばかりを議論している輩もいる。極論を言えば行政視察の昼飯などコンビニのおにぎりで充分だし、夕飯でもホテルの近くの大衆的な飲食店で事足りる。

 若くてやる気のある議員は、おにぎりを頬張りながら、少しでも多くの対象を見ようと視察先の町を走り回っている。古参のジイサンたちが、中華料理屋で舌鼓を打っている間にね。そういうことなのだ。

 ワシャの父親はかなりアクティブな人だったが、やはり古希を超えたあたりから、物静かな老爺になっていった。外に出て活動をするよりも書斎でなにやら認める方が好きになったようだ。

 地方議員というのは、とくに市議会議員などというものは、国政の長老たちと違って単独でなにもかもこなしていかなければいけない。何人もの秘書や後援会を使って、調査や研究をしている国会議員とは根本的に違っているのである。

 そこには自分の身を粉にして動ける体力と気力が必要であって、小狡い知恵など用はない。

 冒頭の尼崎市議は若かろうが、なんだろうが犯罪者である。こんなのは言語道断であって、こういう輩はしっかりと罰して行けばいい。その他の普通の地方議員ということで考えると、人間としていろいろなものが衰えてくる70歳以上は「要らない」というのがワシャの主張である。