朝日新聞1面「天性チンコ」の下手さをカバーするために、哲学者の鷲田清一氏が「折々のことば」という《古来の金言からツイッターまで、ことばからめぐらせた思索をつづる毎朝のコラム》を「チンコ」の左上に連載している。これはなかなかおもしろい。
今回は造形作家の岡崎乾二郎氏のこの言葉だ。
https://www.asahi.com/rensai/list.html?id=76
《そのつどの感覚に忠実に、事の後先を忘れて集中するというのが「子供」の特徴ですね。》
これがワシャの琴線に触れた。解説を読めば、この言葉が、天才漫画家の楳図かずおさんとの対談で出てきたものというから、さもありなん。
楳図さん、言わずと知れた「子供」の人だった。それは行動からもお住まいからも感じとれた。岡崎氏が言われるとおり、「事の後先を忘れて集中する」のが楳図さんであり、子供の特権である。子供の心を忘れない人というのが、おそらくクリエイティブな仕事をやれると思う。
それはお堅い業界でも同じことで、杓子定規な大人の分別ばかりでは、おもしろいものはできませんぞ。
しかし、算盤勘定と律義が得意な大人だけが中枢を占めると、その組織は急速に面白味を失っていく。リーダーに遊び心がなく、補佐役が真面目なだけの人材ばかりでは、つまらない仕事しかはだてられない。 楳図さんほどではなくてもいいので「子供心」を持ち続けている人材を主要なところに配置しておくことが、センスのいい仕事を企画していく大切な要素だと思いますよ。