村西監督のツイート

 AVの帝王こと村西監督のツイッターが炎上しているという。

《「全裸監督」村西氏がビル火災のクリニックを揶揄して非難轟々》 https://news.yahoo.co.jp/articles/17b35799f9d61fb29b5bfcf0195fe9da565480e8

 上記のニュースは「女性自身」の記事から採られている。でね、「女性自身」も気を使っている。一般的に使用される言い方の「ツイッターが炎上」とは言わない。あくまで「ビル火災の被害者の皆さんに寄り添っています」感を出したいのだろう。火災を連想させる「炎上」を「ツイートに非難が殺到している」という言い方で村西監督を非難している。

 村西監督が保守的な愛国者であることが、反日色の強い「女性自身」には許せないのだろう。だから、論っているわけですね。それではそのツイートを見てみよう。 《24人の死亡が確認された悲惨な大阪の心療内科。行けば僅か数分の診察で「とりあえず軽いお薬を出しておきましょう」となりて薬漬けの人生のはじまり、気がつけば立派なジャンキーに仕立てられ、睡眠薬抗うつ剤を手放せず。本日も精神科の待ち合い室は調剤薬局と化して、お日柄もよろしく大入満員》

 おそらくこの文章はツイッターなので連続してしまっているが、《大阪の心療内科。》のところで一旦改行が入るはずだ。そして《行けば僅か数分の診察で・・・》の前に、「一般的な心療内科は、」という一文を入れると理解しやすい。村西監督は、事件現場の心療内科を揶揄しているのではなく、その事件を受けて、一般論としての心療内科の診察の仕方に疑問を呈しているのである。

 確かに、ワシャの知人っている心療内科でも診療に3分とかからないという。「体重の変化」、「体調の変化」、「気分の良し悪し」を確認して「取りあえずお薬を出しておきましょう」となるそうで、ワシャはこれをギャグにしていたくらいだ。

 そもそも心療内科の待合室に人がたくさんいる、あるいは診療中の人を含めて20人以上が一カ所に固まっていること自体、「心療内科」という診療科目の性質上、まずいのではないか?  そもそも心療内科というところは、精神的に病んでいる人が集うところである。そういう人は他人に会いたくない。できれば、時間を決めて自分独りだけの時に受付に行って、診療を受け、薬を受け取り静かに帰りたいものだ・・・と知人は言っていた。そういった意味あいからすれば、当該診療所はやや人の数が多かったと思う。  被害に遭ったからそこはすべて「善」、被害者を責めることは「許されない」というロジックに陥ってはなにも見えてこない。まさに、和式リベラルの陥穽にはまってしまう。

 お亡くなりになられた方々には哀悼の意を捧げつつ、しかし、問題を鬼畜の犯人だけを責めることで終わらせるのではなく、そこに横たわっている問題点は、被害者の動向などにも視点を拡大しながら分析していくことが重要ではないだろうか。  そういった意味では、やや言葉足らずではあったが問題点の指摘をした村西監督に悪口雑言を浴びせかけてツイッターを炎上させた連中のレベルの低さを感じざるをえない。  記事の中にその攻撃ツイッターが記されている。

《多くの人が犠牲になった病院火災で死者の尊厳を踏みにじるような発信は絶対に認めません》

 日本人は死者の尊厳をもちろん大切にする。どこぞの国のように墓を暴いて晒すような暴挙はしない。しかし、問題点を洗い出すことは次の悲劇を繰りかえさぬためにも、院長はお亡くなりになられているけれど、その診療の仕組みはどうだったのか、このあたりはきちんと検証すべきことである。冷静になれよ。

《亡くなった患者をバカにしたようなこのツイート最悪だな》

「バカにしたような」・・・「ような」を付けているところが腰が引けているね。しかし、このリツートをした人間は「心療内科」の何を知っているのだろう。現実として、「心療内科」の多くは村西監督の言うとおりだし、それで「心療内科」は繁盛している。現実を見てからモノを言ったほうがいい。「ような」をつけるようなコメントを出すようなことはやめような。

《通院することも薬を服用することも悪いことではない》

 悪いことではないですよ。しかし、それが中毒になってしまうのはいいことではない。村西監督は社会の底辺を、このリツイートをつけた人よりもはるかに知っている。そこまでのことを考えれば、「通院することも薬を服用することも悪いことではない」なんていう一般論を堂々と出すことに羞恥を感じなければだめだね。

《人を支える精神科を悪く言い、人命を軽んじる発言》

 これもそうだね。「人を支える精神科」ってなんだろう。「医は仁術」ってことなんでしょうか?でもね、武見太郎という政治力のある医師会長が出て、医者の待遇を大幅に変革してから、医者の収入、とくに開業医の収入はうなぎのぼりにアップした。それこそワシャの町には開業医が雨後の竹の子の如く林立している。もちろんその中には心療内科もいくつもある。だが、総合病院には医師がいない。ワシャが昔、骨折して入院した総合病院に骨折した知人が入院しようとしたんだけど、整形外科の医師が開業して去ってしまって「今は受け入れが出来ない」のだそうな。

 仁術なら総合病院で働き続けてもいいよね。でも、収入や当直などを含むハードな勤務体制のことを考えると「仁術」とばかりも言っておれないというところでしょうか。

 少なくとも「心療内科」の待合室は賑わってはいけない。少なくとも1人の患者に対して15分程度の診療時間は必要だし、導線も考えて患者同士が顔を合せない工夫も必要であろう。

 そういった意味では当該診療所は、必ず待合室やエレベーター前で、患者同士が複数バッティングしてしまう状態だった。これはよくない。その点では村西監督は「言葉足らず」だが鋭いところを突いていると思う。

 もちろん加害者はキッチリとゲロさせ、最終的には獄門、磔、火炙りでも責任を取らせるべきだが、そのことばかりに目がくらんでしまってはいけない。脇にある問題点もしっかりと検証して、このような悲劇が普通の市民を襲わない仕組みを構築していくことが必要だと考える。

 村西監督のツイートはそういった意味での問題提起であろう。