歌舞伎の人間国宝中村吉右衛門丈がお亡くなりになられた。御年77歳。現在の高齢化の状況の中では、やや早い旅立ちである。どうも印象としては、看板役者は仕事がハードなせいか、命が短いような気がする。
吉右衛門丈の舞台は何回も拝見した。もちろん「熊谷陣屋」の熊谷直実が当たり役だったが、どの役をやられても存在感の大きい役者であられた。
とくにテレビの「鬼平犯科帳」では一世を風靡したと言ってもいい。なにしろ、吉右衛門丈の長谷川平蔵は格好よかった。江戸弁もそのまま使えたし、なんといっても着物の着こなしが抜群だった。悪を懲らしめる時の鬼の形相も怖かったし、妻の久栄とくつろぐ平蔵のやさしい表情がかわいい。
鬼平は永遠に不滅だ。