衆院選分析

 昨日の夕刊フジで政治哲学者の岩田温氏が今回の衆院選の分析をしていてそれがおもしろい。

《【日本の選択】衆院選、注目すべき3つの選挙区 共産と共闘で立民は「完全なる左派政党」と拒否反応 自民党の支持基盤も盤石ではない》

https://news.goo.ne.jp/article/fuji/politics/fuji-pol2111030002.html

 詳細は記事を読んでいただきたいが、ざっと言っているのが3つ。

 1つ目は、常勝の中村喜四郎氏ですら立憲民主党共産党と連携するという暴挙のあおりを喰らって負けてしまうということ。

 2つ目は自民党が強かったのではなく、自民と立憲以外に選択肢があれば賢明な有権者はそちらに票を投じるということ。

 3つ目は自民党公明党とつるんだとしても、素直に自民党票が公明党に流れていかないということ。

 これを茨城7区、京都4区、東京12区を分析して「立憲民主党」と「共産党」の共闘は失敗だったと結論付けている。さらに「自民党」も深く反省しなければいけないと、岩田氏は言う。

自民党の支持基盤も盤石ではないということだ。他に支持する政党がないから自民党に入れておくという有権者が多い。(中略)また、自民党の岩盤支持層は、公明党には票を投じたくないと考えているということだ。多くの自民党候補者が「比例は公明党」と連呼していたが、実に醜悪な光景だった。》

 ワシャの知り合いにTという市議会議員がいる。彼はある保守系の候補者を支援して動いた。Tはそもそもそういったことをするのが苦手なんだけど、浮世の義理というやつで駆り出され、駆り出されればそれなりに頑張っていた。候補者の応援演説でもT一人だけが、立憲民主と共産の連携を取り上げて「これを許すことは体制を覆すことだ!」と訴えていた。「立憲民主党さん、共産党さん」と言っていた候補者は「そこまで言わなくても・・・」と戸惑っていたが、その躊躇した分だけ票が取れず、小選挙区で苦杯をなめた。

 もちろんそこに敗因があったとは保守系候補の選対本部は考えていないだろうし、そこまでの分析もできていまい。

 しかし、岩田氏の考察を当てはめてみると、ぼんやりと形が浮かび上がってくる。

 Tの選挙区の立憲民主候補は5期目をねらう中堅で、地元行脚も徹底的に実行しているまさにポピュリズムを知りつくした候補である。それに対して自民の候補は、小選挙区の構成市の中でも小ぶりの市の市会議員、県会議員をしていた人で、とくに顔が売れているわけでもない。さらに人物が善すぎる。これが県会議員なら充分に活かされる。しかし、国政にとなると善人ということがプラスになるかというと、これは難しい。

 相手の党を「さん」付けで呼んでいる場合ではなく、敵の弱点をついて攻撃をすることを考えなきゃ。常勝中村喜四郎でも一敗地に塗れたのである。Tは「戦略を変えれば立憲民主の候補に勝てた」と残念がっていたが、ある意味で盤石(笑)の保守地方組織が、ぺエペエの市議の言うことなどに耳を貸すものか。

 負け惜しみでも法螺でもなく、自民候補の演説の内容が地元ネタばかりで、「国家」、「国防」についての話題には触れなかった。新人ではなかなかそこまで踏み込めないところではあろうが、しかし、そこを徹底的に学習し、そこで共産党と連携している立憲民主候補を攻撃することに力を注ぐべきだった。

 すでに旧来の自民党政治に、賢明な有権者は辟易としているのである。昭和のころの政治屋が言っていたような、「道路をなんとかします」とか「災害対策をやっていきます」なんてことばかりでは、せっかく立憲民主から離れ始めた有権者を引き付けられない。「やっぱり昔の自民党だ」と見限られてしまうのがオチだ。

 

 とか、いろいろな分析ができるのであった。まずは己を知ること、これが百戦を勝つ最初の一歩である。