東京五輪よ、ありがとう

 なんとドラマチックなことであろう。日日、感動をしないことがない。本当にオリンピックを開催してよかった。

 昨日はサッカーがメダルを逃した。メキシコに敗けた。MFの久保建英選手は座り込んで泣いた。それをメキシコ選手がなぐさめている。これを見てワシャも涙ぐむ。

スポーツクライミングではずっと話題になっていた野中生萌選手と野口啓代選手が、銀と銅のメダルを手にした。表彰台で、もちろん両者ともセンターに立ちたかったことは言うまでもない。これで引退をする野口選手にとっては悲願だったろう。しかし、スロベニアのヤンヤ・ガルンブレト選手は強かった。「やんや」の喝采を送りたい。

 感動したのは表彰式だった。まず銅メダルを受けた野口選手がメダルを見て顔をほころばせた。マスクをしているので口元は見えなかったが、目はうれしそうに笑っている。そして誇らしくメダルと花束を高く掲げた。

 同様に銀メダルをもらった野中選手も、高々と突き上げた。目元は喜びにあふれている。それに対してヤンヤ選手は、惜しみない拍手を送っていた。

 台上で3人がセンターに集まって抱き合った。スロベニアを日本が両側からはさむ格好だ。3人は本当に仲よさそうにくっつきあっている。これがまた絵になって(泣)。ヤンヤ選手も美人だし、野中選手も野口選手も大和撫子だから、フラッシュの音が鳴りやまない。これが国際平和ですぞ!スロベニアの人々も、こんなに仲のいい日本人の住む日本を嫌いになるわけがない。おそらくこの表彰式で親日派がごっそりと増えているはずである。

 卓球男子団体の銅メダルもよかった。水谷隼選手の観客席に向けて上げられた両手の力強いことよ。韓国を下したので、また彼の国では誹謗中傷のSNSが大量に湧くだろうけれど、そんなことは放っておけばいい。

 空手男子形の喜友名諒選手も気迫のこもった演武だった。こんなに強い貫手を見たのは大山倍達依頼じゃわい。

 そして陸上男子リレーの「途中棄権」。第一走者から第二走者にバトンが渡らなかった。ゆえに第三走者の桐生祥秀選手はオリンピックで走ることなく東京を去る。この悔しさはいかばかりであろうか。しかし、桐生選手は、バトンを渡せずに悲嘆する第一走者に寄り添って、何事かを話しかけていた。その表情はとても穏やかで、いい顔をしているなぁ・・・と思わせてくれた。なかなかあの場面で、あの顔はできない。ワシャは桐生選手のファンになってしまいましたぞ。

 まだまだドラマはある。昨日一日だけでも書き切れないくらいの感動が日本中を、世界を駆け巡ったにちがいない。

 感動をありがとう!

 

 とは言えだ。朝日新聞はしつこい、ねちっこい。

誰もが確認する「メダル獲得表」の横にネガティブな記事を載せている。

《「コロナに打ち勝った」はまやかし ただ私は立ち向かう》という見出しで、競歩のカナダ選手のことを書く。この選手、東京五輪を「ウイルスに打ち勝った証し」と表現することに違和感を抱いているんだとさ。記事を引く。

《コロナ禍で開かれる五輪に懐疑的だった。それでも、最終的には出場を決めた。「自分勝手だと自覚している。ただ、世界のトップ選手たちと競える機会はそう訪れないし、生活もかかっている・・・」》

 どう考え、どう行動するかは、この選手の自由だ。オリンピックに参加できる実力を持っているのだから、どうぞご勝手にということである。でもさ、選手の口を借りて「コロナに打ち勝った五輪などとまやかしを言うんじゃないぞ」と腐すこともねーだろう。朝日新聞の性格の悪さはここにある。みんなが感動しているのである。何も「メダル獲得表」の横で水を差すこともなかろう。

 陸上女子のベラルーシ代表のクリスツィナ選手の「ポーランド亡命」の記事は、国際面の最下段でわずか500文字の扱いだ。30センチ×15センチカラーの「まやかし」記事とはえらい違いだ。

 一事が万事、この調子だから困ったもんだ、朝日新聞

 

その点、産経新聞のウェブ版はそのあたりを弁えている。

 まず、ベラルーシ選手の話を持ってくる。

《五輪も国際政治の舞台となる。そう痛感させられるニュースが東京発で世界を駆け巡っている。ベラルーシの陸上女子代表がコーチ批判を理由に帰国を命じられ、投獄の恐れがあるとしてポーランドに亡命した問題は欧米メディアの関心が集中した。》

 にも関わらず、朝日新聞紙しか読んでいない方々は、この亡命問題がどれほど重要なことなのかを知らずに過ぎてしまう。そして「デュープス」は大量生産されていくのである。

 ベラルーシのことを大きく報道することで、独裁者の統治する国家では、選手がコーチに文句を言っただけで、強制帰国を余儀なくされ、帰国後にヘタをすると処刑か強制収容所かという処断が下る。

 世界には日本の江戸時代よりもさらに遅れた国家、支那北朝鮮のような人権抑圧社会がそれこそ地球上の全域にあることを知らなければいけない。

「地球はひとつ、私たちは地球市民なのよ~」なんていうお花畑な連中は日本だけでしか生息できない。国際社会は極めて厳しい世界なのだ。日本人の常識は、世界では通用しないし、日本人の美徳は、世界から見れば付け込みどころ満載なのだ。

 

 いい話で口火を切ったのだが、朝日新聞の話あたりから、いつもどおりに戻ってしまったわい。

 それでも東京オリンピックは開催してよかったし、そのことによって感染拡大もしていないと思う。おそらく地球上で、この武漢肺炎蔓延下でオリンピックを滞りなく開催できる国は日本しかあるまい。

 そして北京での冬季五輪は中止にしよう。それが人類の理性の証明になるのだから。