武漢ウイルスの大誤解

 国立病院機構仙台医療センターウイルスセンター長の西村秀一先生が『もうだまされない 新型コロナの大誤解』(幻冬舎)を上梓された。6月25日初版で、すでに3刷がかかっている。

 この手の「コロナ本」はすでにたくさん出ているし、その中の何冊かには目を通した。しかし、パッとするものはなかった。

 で、『もうだまされない 新型コロナの大誤解』である。これは目から鱗だった。

〇ビニールカーテンやパーティションは逆効果

〇テーブル、椅子、ドワノブの消毒は無意味

〇目・鼻先からの感染も神経質に考えない

〇感染の主たるものは「空気感染」で「接触感染」は稀。ウイルスは空気によって運ばれる

〇コロナでなくなった人の遺体を密封する必要はない。インフルエンザでなくなった人と同じでいい

〇1回の咳で口から排出するウイルスの数は100~1000個程度。その中で生きているウイルスは1/100から1/1000。

 などなど、ウイルス感染症研究の第一人者の具体的な説明は、まことに解りやすかった。なにが危険で、なにが取り越し苦労なのが、なにがデマなのかがきっちりと見えてくる。

 

 昨日のBSフジの「プライムニュース」に、元厚生労働省医系技官の木村盛世さん、自民党橋本岳代議士、立憲民主党泉健太代議士が出演していた。

 まあ議論は一方的で、現在の政治のやり方について、木村さんが厳しく指摘をすることに対し、2人の議員はアタフタするばかりで、反論すらできない。ああ、国会議員のレベルはこの程度か、とあらためて悲しくなった。

 とくに立憲民主党の泉は「ゼロリスク」を国会でも公言しているが、そんなものあっというまに木村さんに論破されて、「ゼロリスクというのはスローガンで、必ずしもウイルスをなくすということではない」と言わされてやんの。アホか!

 この立憲民主党などが掲げるデマスローガン「ゼロリスク」については、西村先生も真っ向から否定している。「ゼロリスクを求めたら死ぬしかない」ということなのである。

 先生が、最後に立憲民主党のバカさ加減を暴露してくれて、大笑いをしたので、とても楽しい読書となった。

 おそらく「コロナ本」の中でも秀逸な一冊と言っていい。