おもしろいのう

 興味深いニュースがあったので反応しておきたい。

《「選択的夫婦別姓」市議除名した自民党支部長の言い分「ワシのかみさんも…」党派対立で当事者がおざなりに》

https://news.yahoo.co.jp/articles/df63460d38bfc19a342bc35e1cf2ed915bebdd8b

 石川県の小さな町(人口58000人、面積13.56㎢)の市議会で起きた話である。

 ニュースをざっと読むと、共産党市議が「選択的夫婦別姓」の意見書を出し、それに保守系会派の女性市議が賛成した。これを問題視した保守系会派は、親分である県議に訴えて、「自民党支部」からの除名をするということになったらしい。

 野々市市15人の議員がいる。0.9㎢に1人の議員がいることになる。これはけっこう高密度である。山林も田畑もすべてひっくるめて950m×950mを守備範囲とすれば全市域をカバーできるんだからね。

 この市議会では「野々市フォーラム」(保守系7人)が最大会派である。おそらく議長、副議長もここに属しているだろうから、過半数を押さえているということ。他は「市政議員会」(2人)、「共産党」(1人)、「公明党」(1人)、「令和清栄」(1人)となっている。除名された女性議員は、単独で「みのりの会」を立ち上げた。「SDGs東京」よりはまともな会派名ですね(笑)。

 野々市市議会のホームページを見た。議員の年齢が記されていないので、ワシャの得意なジジイ攻撃ができぬ。期数で見るしかないので、それで分析まがいのことをしてみよう。

 まず「野々市フォーラム」。4期の議員がいるんで、おそらくこの人の意向で、この会派は動いていく。おそらく議長経験者であろう。そして真面目そうな顔立ちなので、正論ばかりを主張される。「なんでワルシャワはそんなことが言えるのか?」と思われるかもしれない。けどね、結局、議員なんてあるパターンがあって、それは数種類もあればいいくらい単純でステロタイプなのである。個性派なんていっても、「変人」で括れてしまうわさ。

 まぁいいや。噺を先に進める。

 ざっと写真を見ただけではあるが最大会派の長老は爺様だ。委員会、委員長の布陣にしてもオーソドックスな構成と言っていい。長老に議長に、それに追従する2期生という構図が固まっていれば、1期生のそれも唯一の女性議員が反旗を翻すのは大変だろう。

 当該議員、ワシャの好きなタイプではないが、写真を観察するところでは、わりとまともそうだ。「SDGs東京」のオバハンに比べればかなりまともに見える。

 その上で批判しておきたい。

 まず、議会は数がモノを言う。そりゃ民主主義でっさかい、しかたありまへんわなぁ。そして地方議会では「共産党」は少数だ。それに、市議会議員レベルの教養では、「共産主義はいかがなものか」程度の認識で、その成り立ちの歴史や詳細な活動内容まで知ってものを言っている人材は少なかろう。となると深く考えずに「共産党が出してきた案件は否決」と上が言い出せばそれで決まり。

 そのしきたりをまず理解して、1期生がしきたりを動かそうと思うなら、水面下での工作しかなく、表で長老様とやり合えば「除名」てなことになりかねない。

 つまり、せっかく多数派に所属したのだから、そこをうまく利用することに心がけ、「選択的夫婦別姓」などという不確かな案件については、根底の思想は持っておけばいいが、それを騒ぎにするほどのことかいな・・・と思うのである。

 当該議員も言っている。

「「私の名は改姓で、生まれ変わっても同姓婚を選ぶと思います。少数派であってもそうします。夫と同じ姓を名乗りたいから」

 のろけが少し入っているが、それならそれでいいじゃん。ただね、「選択的夫婦別姓」の現状をしっかりと理解して、それに現在の日本のかたちを充分に吟味し、右派、左派ではないのだよ。「選択的夫婦別姓」を仕掛けてきたものどもの底意の危険性まで解きほぐせば、なにも共産党の出してきた意見書に「賛成」するという保守会派からすれば「暴挙」に打って出なくてもよかったのではないか。

 おそらく長老も、議長も、同じ会派の議員たちも、当該議員を説得するだけの智慧も教養もなかったのかもね。

 全会一致を強要した会派も会派だが、これが現状なのである。先進的な議会もある。しかし、大方は昭和の議会のままだと思ったほうがいい。

 だいたい、議員は試験がなくても「やる気」と「暇」と「立候補する時の金」があればなんとかなる世界で、年功序列がいまだに強く根を張っている。野々市の話ではないが、ちょっとだけ賢しい愚物が長老になると悲劇だ。4年は議会が空転すると言ってもいい。ある意味で市側の言うとおりになる。

 ま、でも職員は試験を受けて入って来ているので、議員よりは少しはまともかもね(笑)。

 野々市のはるか南の市議会では、右翼の議員が「男女混合名簿はいかがなものか?」と言って新聞ネタにされている。いやはや全国津々浦々おもしろい議会がありますねぇ(笑)。

 

※49日議員 49日議員