時は経つか

 朝から、書庫もぐり込んでいる。映画関連の棚があって、そこで黒澤明のパンフレットを探しているんですね。

 あった!       

 40年前に買った『影武者』と『乱』のパンフレットは健在でありました。いやぁ、今、思い返しても、凄まじい黒澤作品でしたな。色彩感覚豊かな画家でもあった黒澤は、映画にもその強さをいかんなく発揮している。どのシーンもが「絵」なのである。そしてそこに登場する役者たちも「絵」になっていた。『影武者』でいえば、萩原健一大滝秀治、『乱』ではピーターや原田美枝子が、まさに一幅の絵になっている。

 もちろん両作品の主人公である仲代達也は言うに及ばず、黒澤に抜擢された隆大介や油井昌由樹なども、その存在感を示していた。

『乱』の総製作費26億円は、その当時、日本映画としては最大の予算だった。なにしろ黒澤は美術にこだわりメインキャストの衣裳はすべて手縫いで製作したという。1着に500~1000万円の費用をかけたから、そりゃぁ大変な予算が必要ですわなぁ。

 先人たちが大変な労苦の末に、こういった作品を残してくれたことが、どれほど有り難いことか。

 また、絵画鑑賞としても黒澤映画を楽しみたいものだ。

 

『影武者』『乱』に大抜擢された隆大介氏の訃報

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6391392

にふれたので、そんなことをちょいと思ったのでした。