ノーベル平和賞

ノーベル賞を知るシリーズ④』(講談社)を読んだ。子供向けなので、ポイントも大きく、説明も噛み砕いてあって、『近時政論考』のように歯ごたえがあるほどのことはない。でもね、ノーベル平和賞のことが解りやすく解説してあるので、大人でも十分に勉強になる。

 まず、ページを割いて掲載されている人は13/134人だけである。本書の中でも言っているのだが、《ノーベル平和賞は、ほかの賞に比べて、誰が受賞するのか予測ができない賞だと言われています。「平和」の定義は、人種や民族、国籍といった属する社会や、宗教や思想など信じるものによって異な》るからに他ならない。《残念なことに平和賞を受賞した政治家がのちに戦争を始めてしまうことや、少数民族への迫害を黙認してしまうこと》も往々にしてあるからである。そういった「平和賞」に値しない者もいるので、無難な線を選択すると13人程度ということになったのかもね。掲載された13人を列挙しておく。

 アンリ・デュナン(スイス/赤十字国際委員会の創立及びジュネーブ条約締結)

 フリチョフ・ナンセン(ノルウェー/戦争捕虜の帰国と飢餓難民の救済活動)

 アルベルト・シュバイツァー(フランス/アフリカでの医療活動)

 マーティン・ルーサー・キング・Jr(アメリカ/米公民権運動の主導者)

 マザー・テレサ(インドでの慈善活動を主導)

 ダライ・ラマ14世チベット支那の占領に対する反対派主導者)

 アウンサンスーチーミャンマー/軍事政権に抵抗する集団のリーダー)

 ネルソン・マンデラ南アフリカ/南アのアパルトヘイト終結させたアフリカ民族会議代表)

 ワンガリ―・マータイ(ケニア/もったいないオバサン)

 ムハマド・ユタス(バングラデシュ貧困層の経済的救済を実行した銀行の創設者)

 マララ・ユスフザイ(パキスタン武装勢力の脅威の中で教育を受ける権利を主張)

 デニ・ムクウェゲ(コンゴ民主共和国/性暴力撲滅への貢献)

 

 アウンサンスーチーダライ・ラマ14世、もったいないオバサンから4人はA4の1ページ。それ以外の6人は見開き2ページの扱いとなっている。

 枠外の扱いとして、日本で唯一「平和賞」を受賞している佐藤栄作が1ページを割いて掲載されている。まぁ日本人だからということで載せざるをえなかっただろうが、授賞理由の「非核三原則」に、密約があって「ウソ」だったことが、後にばれてしまっている。これで枠外掲載になってしまったのね。残念。

 アウンサンスーチーにしても受賞当時(1991年)は悲劇のヒロインだったのかもしれないが、その後の国内政策を見てくると、「このオバサンで大丈夫なのかい?」という部分が見えてきた。ワンガリ・マータイも受賞当時(2004年)が環境問題で大騒ぎをしていた時期に重なっており、ブームに乗った観が否めない。

 マララ・ユスフザイも確かに勇気のある立派な行動ではあると思うけれど、たとえばマザー・テレサネルソン・マンデラと比べた時、その実績の量というか、歴史がまったく違っているのである。マララの行為は顕彰に値するものであるが、もう少し実績を見てからでもよかったのではいか。こういった実績のない若い人へのノーベル平和賞は、候補者を選出するノルウェー国会の政治的思惑が垣間見えてしまう。デュナン、ナンセン、シュバイツァーなどと比べると近年には小粒なのが紛れ込んでくる(笑)。

 ついでに、大きなミスも随所に見られる。2000年の韓国の金大中は、「北朝鮮との平和和解」だったけれど、その後の北東アジアはどうなっていますか?

 中国共産党を支持し、なんとカンボジアのクメールルージュを政権として認めたジミー・カーター、環境問題で白熊さんの危機を訴えたアル・ゴア支那を野放しにして強大化を許してしまったバラク・オバマなど、トンデモ平和賞も乱発している。これらのアホ人選は、ノーベル平和賞の名を汚してしまった。金、カーター、ゴア、オバマは、孔子平和賞でよかったのではないか。

 

 こうなったらノルウェーのノーベル委員会よ、汚名挽回のためにも、ダライ・ラマ14世劉暁波に平和賞を送ったように、香港人権派の、今は獄中にある周庭さんにぜひとも平和賞を送って欲しい。そのことが、機を見るに敏な支那人に、強姦や拷問を思い止まらせる抑止になると思う。

 アルフレッド・ノーベルは、チベットウイグル内モンゴル、香港などでのチャイナチの悪行暴虐をぜったいに認めない。しっかりしろよノルウェー国会。