おやゆび知事続報

 愛知県の大村知事の、大阪府吉村知事への反撃が大きなニュースになっている。この人、己の非を指摘されるとむきになるという習性を持っている。悲しいサガと言っていい。

《大村知事「ただ単に言い訳」 医療崩壊否定の吉村知事に》

https://news.yahoo.co.jp/articles/d8d7f205b66d4c3eafdb9a748d1384e843c177bd

 まずは、大村知事から仕掛けた。「東京と大阪で医療崩壊が起きている」と言ってしまった。

 これはまずい。実際に「医療崩壊」があったとしても、他の県知事がそのことについて公(おおやけ)の場で言及すべきではない。少なくとも他の都道府県の住民に懸念を与えるような発言は、公的な地位にある人間が軽々に口にすることは憚るべきだ。その自治体のことはその自治体のトップに任せておけばいいのである。よそ者がしゃしゃり出てまでして発言すべきことではない。

「私は公表されたデータを拝見して申し上げただけ。違うというならデータをもって話すべきだ。そうでなければ、ただ単に言い訳しているに過ぎない」

 なんという間抜けな発言であろうか。いいかい、「よそ様のデータを見てもモノを言うな!」ってことですわ。吉村知事は、あなたに言い訳をしているわけではない。大阪府民880万人に言い訳をしているのである。言い訳をしてでも府民を元気づけなければならないわけで、明るい方向に導くためにはすべてをあからさまに語ればいいというものではない。

「病院に入れない、救急を断るというのは医療崩壊で、それが東京と大阪で起きた。医療崩壊を起こしたら行政としては負け、何を言いつくろっても結果だ」

 愛知県の結果は、すべて知事の努力でそうなったわけではない。たまたま愛知県の持つ地域性と、住民性の賜物だと思う。おそらく知事が寝ていても結果はそれほど変わらなかっただろう。愛知県の感染者が少ないのが、自分の手柄のように言っているところに愛知県民としては腹が立つ。

 大村知事が殊更に気にしている「吉村、寝ろ。大村、寝てろ」は、吉村知事が言ったわけではない。市井の誰かが二人の知事を比較して、そう思ったということ。その結果として拡散しただけでっせ。多くの人間がそれに共鳴したということで、吉村さんに罪はない。

 こんなことに対して必死になってしっぺ返しをしても仕方なかっぺ。ことが府民、都民に心配をかける内容のことなので、つまらぬ発言はせぬかよろし。余計なことを言うから「寝てろ」と言われる。そのことに気が付かないところにこの人の悲しさがある。このまま突き進むとホントに米山さんになってしまうかもしれない。どうか立ち直っていただきたい。

 

 さらに笑ったのが、この件について、あの山口二郎大先生が大村知事に応援ツイートをしてくれたことだ。

《これは重要な問題提起。東京、大阪の知事はテレビでええ確固するのではなく、住民の命を守るために任務を果たしているかどうか、厳しく検証すべき。》ちなみに「確固」ではなく「格好」の間違いね。

 山口大先生が「これは」と言っているのが、朝日新聞の記事のことです。

《「東京と大阪は医療崩壊」 大村知事、情報公開求める》

https://www.asahi.com/articles/ASN5W3HCMN5VOIPE00K.html

《大村氏はこれまで東京と大阪で医療崩壊が起きていると繰り返し指摘。11日の記者会見では「医療崩壊を起こしたら行政としては負け。何を言いつくろっても結果だ」などと述べていた。》

 目立ちたがり屋で妬みの強い知事が精一杯突っ張って、それに朝日新聞がエールを送って、更にまた山口大先生が拍手を送る。朝日新聞津田大介の評論を載っけて、津田大介とテドロス知事はとても仲がいいときたもんだ。見事な連関を見せられた(泣)。

 

 そして絶対に言ってはいけないことがある。

医療崩壊を起こしたら行政としては負け」

 そもそも行政に勝ち負けなどあるか。行政はどういう状況になっても住民を守るために命懸けで頑張るものである。東京大学法学部卒にも解かるようにはっきり言えば、南海トラフで大地震が発生し、津波が沿岸部を襲ったとしよう。もちろん発災直後には沿岸部市町村の医療体制は崩壊する。そんなことは東日本大震災を見れば判断できるよね。でも、負けじゃないんだ。自治体は敗北してはいけないのだ。そこから住民を助けるために、一人でも多くの命を救うために、立ち上がるのである。自治体は、医療崩壊が起きても負けちゃいけない。

医療崩壊を起こしたら行政としては負け」などと言い切る知事に、命を預けている愛知県民の悲しさはいかばかりであろうか。

 今日のタイトルについては竹田恒泰さんが、「おやゆび知事」と言っていたのを聴いたからつけてみた。どういう意味なんでしょうね?