先週の「虎ノ門ニュース」で、北村晴男弁護士が松川るい参議院議員と「skype」で議論をしていた。北村さんの主張は「自民党の政策が長老たちを中心に回っているのではないか?松川さんを始めとして若手の議員がもっと政策決定に関与すべきではないか」というものだった。これは、自民党の若手に対するエールであったが、半面で長老たちへの批判も込められている。
これに対して松川議員は「受けとめました、という感じです」と困惑した笑いで誤魔化した。
そして夕べの「プライムニュース」でのこと。参議院議員の武見敬三氏が、やはり議論の中で、追いつめられた時に「受けとめさせていただきます」と丸め込んだ。
この時に気がついた。「受けとめます」は政治家の逃げ口上なのだった。「あなたの言うとおりです」と認めてしまっては、立つ瀬がなく、反論を続けるにはこちらに理がない。そういう時に「受けとめました」は、とても抽象的で何を言っているのかよく解からないけれど、なんとなく議論に決着をつける「言葉」なんだと受けとめた。
ここで、松川議員と議論を闘わせたのは、北村弁護士と作家の百田尚樹さんだったのだが、これはやや松川議員に不利なようにも感じた。この2人と2対1では安倍首相でも「受けとめます」だろうね。
その百田さんが新刊を出した。2日前の日記に書いた『バカの国』である。ここにバカが数多羅列されている。「クレーマー・バカ」「プロ意識のないバカ」「生活保護を悪用するバカ」「地方議員のバカ」などが次から次へと飛び出してくる。最初は笑えた。しかし、これは百田さんもまえがきに書いているが《最初はバカが登場するたびに爆笑していたのですが、だんだんと笑えなくなってきました。「おいおい日本、大丈夫か」という気になってきたのです。》そのとおりで、後半になると危機感すら覚えることとなった。「怒りの長い長いまえがき」は18ページに及び、そこで政府、政治家、メディア、地方の首長らを槍玉にあげて「バカ!」と叫んでいる。とくに、この武漢肺炎の混乱に乗じて、マスクをネットオークションで900万円近くを売り上げた静岡の県議会議員に対しては「卑怯」「クズ」の2つを投げつけていた。ワシャもまったくそのとおりだと思う。
巻末でも「地方議員のバカ」と項立てして、大分県議会議員の「ガソリン代詐欺」や、岡山県議会の「報告書コピペ」、鳥取県の町議会での「場所取り事件」、熊本市議会の「飴玉市議」などが列挙されている。これらはあくまでも氷山の一角でしかない。兵庫の「号泣県議」しかり、熊本市の「不当要求市議」しかり、高校球児を乗せてきたバスの駐車位置が気に入らないとして、「おまえらなんか負けてしまえ」といったバカ議員もいた。
ことほどさようにレベルの低い議員は多い。しかし、ごく少数だがモノのいいのもいて、そういう議員はそっくり返り議員の中で肩身を狭くして耐えている(笑)。
冒頭の松川議員もその一人であろう。自民党の長老たちにはまだまだもの申し上げる立場にないのだろう。しかし、二階幹事長などよりもはるかにモノがよく、国士ですらある。国政も地方も、選挙制度も含めてもう少し考えないと、国を守る、地域を守る、という意識の高い人材はなかなか出てくるものではない。