ライフネット生命の創業者の出口治明さんが、著書の『人生の教養が身につく名言集』(三笠書房)で「教養」についてこう語っている。
《本を読んだり、人から話を聞いたり、旅に出たりする中で、さまざまな新しい気づきを得て、自分の中の「知っていること」、つまり「自分の辞書」が増えていく。これが教養の入口であり、そのようにして、「自分の辞書」が1つ、また1つと豊かになっていくことで、自分の世界が広がっていくのです。》
それは「生きる選択肢」「人生を楽しむ選択肢」を増やすことだと言われる。その例として「ワイン」について話されたことが、ワシャの腹にストンと落ちた。
出口さんは言う。
「ワインについて何も知らなければ、レストランでワインリストを見ても、それは単なる文字の羅列でしかないですよね」
その通りだ。ワシャは酒もワインも飲むがワインの知識はほとんどない。だから、店のスタッフに「お薦めをお願いします」としか注文できませんぞ。
「でもね」と出口さんは続ける。
「いろいろなワインを飲む経験を重ね、それぞれの味を知り、またブドウの種類やブドウの栽培と土壌や天候との関係、醸造方法、おいしい飲み方などを学び続けていけば、ワインリストの単なる文字の羅列が、とても意味のある深いものになるはず」
ストン。
ワシャは、能、狂言、文楽、歌舞伎などの芸能が好きだ。だから友だちと観劇などに行く際にも事前に勉強会をしてから行く。なるべくそうしてきた。そのことによって、舞台を観た時に味わいが格段に違うからである。
ふむ、ワインリストの話は、そのことを解りやすく端的に表している。なるほど。
さらに出口さんは、ベルナール・ド・シャトルの名言を紹介する。
「巨人の肩に乗っているから、遠くを見ることができる」
過去の賢人や、その人たちが残した事歴を「巨人」に例えて、その力を借りれば、より広くより深く、世界を見渡すことができるということである。
「はじめに」だけで付箋を2カ所に打ってしまった。この先が楽しみだわい。