政治を志す人

 おそらく日本の識者のほとんどが一目を置く、名古屋在住の評論家の呉智英さんが復活している。「週刊ポスト」のコラムの休載が続いた時には、どうなることかと心配したが、今回も無事に連載されていたのでホッとした。「江戸時代に日本国憲法?」と題したコラムが楽しい。その前のページが、89歳の福井県議の記事で、ある意味でこっちは呉さんのコラムより百倍バカバカしくて・・・というかバカ過ぎて泣けてきた。

 御年89歳の全国最高齢の県議会議員って、なんなのそれ。任期中に90を超える。およよ。でね、このジジイ議員が、号泣県議よろしくカラ出張を繰り返し、政務活動費280万円を不正受給していたんだとさ。

 政治を志すのは結構なのだが、もう少し若い時に志せよ。ジジイになっても志したまんまってのもみっともいいものじゃない。志は既得権じゃないんだから。免許を返納しなければならない年になったら、後進に道を譲ったほうがいい。後進が号泣県議でも困るんだけどね。トホホ。

 

 昨日、たまたま所用で名古屋の某ホテルに行っていた。正面の入口に地元国会議員のパーティの案内がでかでかと掲出されていた。見る限り、ざっと1000人ほどの関係者がホテルに集まっていたのではないか。武漢肺炎が流行っているこの時期に、こういったパーティを開催するんだね。

 受付ではマスクが配布されていたようだし、会場のあちこちにアルコールの洗浄液が配置され万全の態勢をとったと主催者も主賓も言っていたそうだから、それは良しとしよう。1000人規模のバンケットである。それこそ準備を半年以上前からやってきている。この1ヶ月ほどで騒ぎになった武漢肺炎は予想外の展開で、主催者としては開催するか否か、苦渋の選択だったろう。

 しかしタイミングとしては最悪だった。厚生労働大臣が「不要不急の集まりを控えるように、外出は控えるように」と呼びかけたばかりである。それに愛知では6人もの感染者が出ている。この状況下で、一つの部屋に1000人もの、それも割合として高齢者が多く見受けられる人間を動員して大丈夫かいな。ここに1人の感染者がいれば、いったい幾人に感染が拡大することか。

 マスクと手洗い用のアルコールを準備すればまだ大丈夫だろう、ということで開催としたんだけど、これは「理由なき楽観論」で初動対応を誤った政府の姿勢と同様のものを感じざるを得ない。同じ自民党だからね。

 陛下は天皇誕生日一般参賀を中止された。もちろん感染拡大を防ぐためにである。このお祝いの参賀以上に不要不急のものなんて考えられない。

 とにかく、昨日の大宴会の参加者から武漢肺炎の発症がないことを祈る。