アンフォーレ落語会

 JRの安城駅の南側にアンフォーレという図書館がある。そこで新春に落語会が催されている。それが昨日だった。すでに5回目を数えているそうだが、5回続けば、もう定着していると言っていい。誰が始めたんだろう(笑)。

 出演は、桂小文治、桂鷹治、桂こう治。まずは前座のこう治がご機嫌をうかがう。噺は「薬缶」(やかん)。こう治、入門して3年半である。ううむ、前座にしては上手い。聴かせる。前座の時の鷹治よりいいかも。

 しかし、二つ目の鷹治も上手くなっている。5年前から安城に来て高座に上がっているが、そのころと比べれば格段の上達を見せる。今回は「初天神」だ。これは定番中の定番と言ってよく、それこそ喬太郎クラスの噺家でもよく掛けてくる噺である。

 これを鷹治うまくアレンジをしている。蜜が垂れるところなんか、二の腕までなめ上げていた。鷹治、童顔なので子供を扱う噺が合うかもしれない。

 小文治は二席。まずは「七段目」を掛けてきた。歌舞伎道楽の若旦那に父親が説教をするという噺なのだが、これは噺家が歌舞伎をどれほど知っているか、歌舞伎の所作を熟せるか、歌舞伎役者の真似ができるか・・・に関わってくる。これが、小文治、上手い。いくつもの歌舞伎のシーンを演じた。立ち役も女形も豪傑も脇役も、どれもが歌舞伎通のワシャが見ても「う~む」と頷くほどの出来になっている。小文治、かなり歌舞伎座に通っているね(笑)。「先代萩」「「暫」「忠臣蔵」・・・お岩さんか、累か、浅薄なワシャの知識では特定できなかった(どこが通やねん!)けれど、幽霊も出てきて、小文治の懐の深さに驚いた。

 二席目は「徂徠豆腐」。ワシャは「報恩」をテーマにしたこの噺が好きで、以前に立川志の輔で聴いたことがある。名人志の輔と比べては小文治に申し訳ないが、いやいやなかなか小文治も聴かせてくれましたぞ。すっきりした居ずまいも好印象だったしね。

 

 田舎町の駅前で「七段目」や「徂徠豆腐」が聴けるたぁ、こいつぁあ春から縁起がいいわえ(チョーン)。