ハイパー白鳥

 いやはや、「忙しい忙しい」と何度も言うのは、「働いてまっせ~」のアピールみたいで、あんまり言いたくないのだが、昨日は忙しかった。朝は午前8時20分に自宅を出て、結局、帰ったのは日がかわって深夜の0時30分過ぎだった。

 午前中は、大きな会議の納会があって、そこでの電子裁決システムに若干のトラブルがあってバタバタした。会議が終わった後は、出先の課長と出版に関する打ち合わせをして、その施設を出たのが昼過ぎである。午後には、コンプライアンスに関する研修会があって、それが終えてから、やはり関係部署との打ち合わせをしていたら、もう日がとっぷりと暮れている。そうか、今が一番日暮れの早い時期なんだなぁ。

 夕方から、まずは地元の料亭で、令和元年最後の凸凹商事幹部忘年会があった。これが社長以下全員そろっての会なので、やや堅苦しい。これは1時間程度で辞して(もちろん関係者にはあらかじめ断っておいた)、それからもうひとつの重要な会合に顔を出し、打ち合わせを済ませた。なにしろ同時刻にバッティングしているのだから、体一つではこりゃたまらない。

 そして最後にもうひとつ所用が残っていた。実はこれが最重要なのだが、あんまり大声では言われない(笑)。

「大名古屋らくご祭2019」である。これが名古屋市民会館であった。柳家喬太郎春風亭昇太林家彦いち三遊亭白鳥4人の出演だ。「大名古屋らくご祭」都合5回やるのだが、初回のこの4人組のチケットは即完売である。豪華メンバーだものね。

 残念ながら野暮用で喬太郎には間に合わなかった。実は間に合っていたんだが、入場を阻まれてロビーで小さな画面で見るしかなかった。おひおひ、落語ってもっと大らかな芸能ではなかったんだっけ。後から入ってくる客があったら、それを噺家がいじって笑いを取るくらいの幅がなくっちゃ。結局、ワシャが見られたのは昇太からだった。彦いちもまあまあ面白かった。しかし白鳥の「ハイパー初天神」は異次元の「初天神」で大いに笑わせてもらった。このネタ、ある席亭で掛けたことがあるんだそうだが、あまりのハイパーさに、下品さに、上演禁止になったといういわくつきのもの。編集者で落語通の広瀬和生氏は「二つ目の時は、マニアックな世界の住人だったが、真打に昇進して以降の白鳥は本当の面白さを身に付けている。古典落語を見事に演じるという種類の上手さは終生持ち得ないだろうが、自分の想像した物語の世界をちゃんと観客に伝えることができる」と褒めあげている。

 喬太郎の「初天神」も聴いたけれど、その破壊ぶりでは白鳥の「ハイパー初天神」に軍配が挙がる。どこまで壊れていくのか楽しみな噺家である。

 

 その後、市民会館前の居酒屋で牡蠣の串焼きと牡蠣焼きポン酢で一杯やったのだった。あ~美味しかった。